エウクロス物語(ユキムラ)/ビブロス・ゼロコミックス


ファンタジーの世界・エウクロス王国唯一の魔法使いウィンチは人里離れた山の中で弟子のカレと二人きりで暮らしている。異端の能力を持つ彼は人々に畏れられることを疎んじて、国王からの招待にも応じようとしない。人間嫌いのウィンチにカレは密かな思いを寄せるのだが…。(J)


じゃあな

 登場人物に長いフルネームがあったり、設定資料があったり国の地図があったりと、最近見かけない「頑張っちゃったファンタジー」なのだが、ストーリーはシンプルで設定の押しつけがましさがない。って言うか、設定があってもなくても関係ない。もう、国なんか、エウクロスだろうがパロだろうがエンディミラ・オルムだろうがどこでも通用しそうなもので、島田ひろかず的な独りよがりの印象はまるでないから、読者にはとっつきやすくて良い。ファンタジーというよりはお伽噺の雰囲気である。
 どの話も切なさがあって良かった。ウィンチさんなあ…タイプだよなあ設定的にも…。一番切ないけど…。「こういうの、最近見かけないよなあ」「石動あゆま以来だよ」と思いながら感慨深くカバー下の地図をじっと見つめていて「バイモード共和国の隣にはゲイモード帝国とかあるのかな」とくだらない事を考えた。

★★★☆


beast tamer(松崎司)/光彩書房・光彩コミックス


元J−1チャンピオン鰐淵は人気絶頂の時に引退する。しかしその後ぱっとせず借金を抱える。一攫千金のために映画に出演するものの、子供の頃のトラウマで共演の犬を怖がり撮影は進まない。しかたなく犬嫌いを克服するために犬とともに合宿をするのだが…。(O)


俺様

先日、松崎司はOKと書いた私ですが、すまない!(土下座)結果として嘘を吐いてしまいましたっ!今回のはダメでしたっ!私は動物が擬人化した話はまだOKなんですが、本物の獣はダメですっ!私のなけなしの倫理観が拒否反応を示していますっ!って薬はいいのかよ…。カバーの折り返しのネコの写真を見て心を落ち着かせたのは私だけじゃないって信じていますっ!ってうか、ネコらぶり〜。他の話は別に「ふ〜ん」で終わったのですが、タイトル作だけはどうしても…。ところで私はリカルドが攻で春樹さんは受だと思っていたのですが、逆だとわかった瞬間、大リーグやセリエAで活躍している日本人だけがすごいわけじゃないんだなと思ってしまいました。

★☆


踊る月華(甘野有記)/オークラ出版・アクアコミックス


大銀行の跡取りとして将来を嘱望される章博だが、孤独な幼少期を過ごしたゆえか両親には反発心しか抱かず、心のよりどころは兄弟の様にして育った従兄の主計だけ。思いは募るばかりだが、主計は章博の事をかわいい弟分としか見ていない様子で…。(J)


じゃあな

 裏表紙の粗筋を見ると「その思いは激しい恋情となって章博を苦しめる」とか書いてあるのだが、あまりそういうドロドロした物語でもない。むしろ第一話の後、主計が鳶職から突然、古書店主(いくら元々は学があるからって、唐突なジョブチェンジだ…)になった後は、甘ったれ犬系攻めのラブラブごろにゃん日記というところか。「ベタベタすんな!」の鉄火肌てやんでい系の主計とはいいバランス配分。毛並みのいいワンコ攻の好きな方におすすめ。
 相変わらず二人の仲を引き裂きにやって来る令嬢もいたが、甘野有記の歴代当て馬令嬢達と同じ末路を辿った。予定調和の展開にむしろニヤリ。しかし、予告カットを見ると、どうも初期設定では主計はロン毛だったらしい。がびーん。ロン毛の古書店主受、御曹司巨大ワンコ攻なんて、ステキすぎたかも! 大好物かも! でもその場合、主計はあの性格ではないのだろうか…。ロン毛であの性格でも私は気にしないが…(むしろ好きだが…)でもいくら何でもその場合、鳶職ではないのだろうか。いや、ロン毛の鳶でもやっぱり気にしないが…何だって気にしないのだが…。

★★☆



真緋の月(甘野有紀)/オークラ出版・アクアコミックス


御曹司の章博と古書店店主の主計は、従兄弟同士で恋人同士。長年、主計を思い続けて来た章博の粘り勝ちだが、主計もまんざらでない様子。ただ、それぞれに人を魅了しがちな二人には、何かと邪魔が多い様で…。(J)


じゃあな

 シリーズ第二弾。第一巻に引き続き、「苦しく切ない」「大人の恋を繊細に描く」と粗筋ではメロドラマ風に煽っているのだが、読んだ印象は結構軽くてラクチン。一昔前の少女漫画風(しかも秋田書店)な絵柄の割に作者は、あんまり重いものが描けないのかも知れない…艱難辛苦嫌いの私には、非常にありがたい作家だ。
 主計は抑えるところは心得ているのだが、基本的に一本気な子供のまんまみたいな人だし、あちこち屈折している筈の章博も、主計を思う気持ちだけは一途で一直線な為、二人の間にあんまり雑な感情が入らないのがドロドロにならない勝因かも知れない。
 あ、だからか、併録の「月下香」は十分ドロドロでしたね。ラストの台詞には「さすが河野、所詮章博の友達にはろくなヤツがいないぜ」という気持ちになりました。「けっ、お前なんてホモのくせに」とライバルを罵ることも出来ず、こんなところでも河野は章博に敗れるという事でしょうか。従兄弟とつきあってる章博より、河野の方が分が悪いよな…。

★★★


間違いの恋(那州雪絵)/新書館・ディアプラスコミックス


柴田が真夜中に眼を覚ますと小柄な男が勝手に部屋に侵入していた。先輩の恋人と勘違いされ、そのまま脅されて車に乗せられる柴田。大好きな先輩が結婚して田舎に帰るというのを、先輩の元恋人に説得してもらいたくて連れ出したようなのだが…。(J)


俺様

今まで読んできた那州雪絵のホモの中で一番良いかもしれないっていうか、やはりこの人は真っ向ホモより友情の延長線上にある精神的ホモって方が良いと思います。孫が心配でのり移っていた純じーちゃん…。じーちゃんの服の趣味ってどうよ…。頭は悪いけど真っ直ぐに浩人を思っている冬樹に孫はまかせたと思ったのかいなくなった純だが、冬樹の邪まな気持ちはいいのかよ。
表題作でとても気になったのは切原先輩の彼氏です。どんな人なの?っていうか本当はおまけ漫画それにして欲しかったんだけどっ!そして富田くんはどういう気持ちで切原先輩を好きだったの?っていうか、切原に対してまさか攻める気だったんじゃ…。あれ?そういえばはっきりどっちが受か攻か描いてない…ね…。

★★★
じゃあな
 私は那州雪絵の「雪女」という短編を読んだ時に「これは私が書きたかった物語だ!」と衝撃を受けた覚えがある。じゃあな当時中学生(…か、小学生)。無論、そんな物語を考えついた事もなければ、何か高い理想を掲げていたわけでもない。要するにあんまり良かったので子供なりに「やられた!」と思ったのだろう。
 そんな那州雪絵もグリーンウッドでキャラ人気に走ってからストーリーテラーとしての実力が見られなくなった気がして惜しい限り。「魔法使いの娘」や本作で少し復活の兆しを見せているが、これは軽妙なキャラの持ち味で読ませているからまだまだ本領発揮とはいかない。毎回こんな事を言っている気がするのだが…蘇れ那州雪絵。いっそ新書館じゃなくて、麗人系に行った方がいいのかも知れない。Juneでありがちな雪の中失われた恋人を思い出して僕は一人生きていくよ…雪が全て隠す…(ポエム)みたいな漫画を描かせたら巧いと思うのだが。あっ、セカチュー?! ボーイズ版セカチュー?! 巧いと思うよ、那州雪絵! なんだか全然本作の感想になっていない気もするが、私はミシュランでの那州雪絵作品に関しては全部懐古しか書いていないので、今回も例に漏れずと開き直っておこう。
★★★


落下速度(富士山ひょうた)/フロンティアワークス・ダリアコミックス


七瀬陽一は取引先の広告代理店勤務の堤とプライベートで飲む程度の付き合いをしていた。酔って無防備な七瀬に対し堤は触りたいと思ってしまい、急速に惹かれていく。自分の気持ちを確かめるために七瀬に触らせてくれと頼む堤に、七瀬は意外にも許可をだす。(O)


俺様

リーマンものか〜と手に取ったら七瀬兄の話だった。っていうか、兄〜!!何のために三年間貞操守ってきたんだよ〜。弟に感化され過ぎだぞ〜。変に知識あるから妙な意識しちゃったわけ〜?
と、いう事で兄弟揃って受人生を歩む事になってしまった七瀬兄弟。最初の頃は兄を落せる男はいるのかと心配(?)だったが、まあ無難な彼氏を作ったのではないでしょうか。私的には年上のリーマンよりも弟の後輩のガタイの良いスポーツバカ希望だったりしたのだが、まあ結果オーライって事ですか。

★★☆


花嫁くん(星野リリィ)/花音コミックス・芳文社


艸田家のしきたりにより男と結婚する事になった慎二。やって来たお嫁さんは同じクラスの葵だった。男なんか結婚したくないのに健気な葵の告白に慎二は思わず…。(O)


俺様

最初、何で兄ちゃんが嫁(ごっつい)を貰わないんだよっ!と思ったものの奥さんの可愛らしさにまっいいか〜となってしまった。そのうえ葵の健気な可愛らしさにくらくらしてしまった。
くそうっ!慎二そこへ直れっ!手打ちにしてくれるっ!葵、俺の所に嫁に来いっ!しかもどの話も受が可愛すぎて「どの子もお嫁になんかやらーんっ!」雷オヤジのスタンドを発動しそうになった。しかもどの攻もちゃんと「責任は取ります!お嫁に下さい」とばかりに責任もちゃんと取るうえに受にメロメロラブ…。ちくしょう、かーちゃん酒買って来い!とばかりにお父さんヤケ酒かっくらっちまうよ。
竹牟礼は当て馬として張り切って出て来たのに影が薄かったね。君にもきっといい受が現れるからって男には彼女ができるからとい
う慰めを言わないのはなぜだろう。それはホモミシュランだからさ…。

★★★☆


花ムコさん(星野リリィ)/芳文社・花音コミックス


「長男に跡継ぎの男子が授かった時は、次男以下は男と結婚しなければならない」…艸田家のしきたりに従って、夫婦となった公一郎と律。形だけの結婚だからと年上の律は割り切ろうとするが、ずっと律しか見ていなかった公一郎はそれじゃ済まない。一つ屋根の下、結婚したのに片想い中の二人の関係は…。(J)


じゃあな

 考えてみれば、どうなってるんだこの家。「次男以下は男と結婚」ったって、艸田家の中でしか通用しないルールではないか。「うちの長男に跡取りが生まれたので、是非息子さんを次男の嫁に」って、おいおい。そうすると艸田一族の間でしか結婚出来ない事になるが(確かに子供が生まれる危険性がないのだから、近親婚でもいいのかも知れないが)、艸田一族にはそんなに次男以下の男が余っているのだろうか。嫡男以外の子孫を繁栄させない為の家訓が、子孫繁栄していないと成り立たないというこのパラドックス。「フルーツ・バスケット」の草摩家みたいに、艸田家もきっと政財界に幅を利かせた名家だからどんな無茶もOKという、そういう事なんだろうな…マンガ的に…。
 さて、そんな事はさておき本作。いつも健気な受が攻を想ってぐるぐるしている事の多いリリィ作品では珍しい、攻が一途で受が迫られてクラクラ、というオイシイ設定。ビジュアルも律が年上の美人さんで、公一郎が「公一郎と聞いて思い浮かぶ高校生を絵に書きなさい」みたいな硬派なルックスでヨシ。考えてみたら私は「律」という名前の受に嫌いなタイプがいないな。自分的にアタリな名前なのだろうか。
 併録の「おまもりひとはなな」。タイトルを見たときに「おまもり…ひとは…なな? おまもりひと…はなな…?」とハナハナしてしまうが、中身はザッツ・リリィ・ワールド。花菜は可愛いが、おかっぱで頭にお花つけて、着物は脱がないので、男の子でも女の子でもどっちでも良かった様な気がする。別に花菜が女の子だって禁断の恋に変わりはないわけだしな。いえ可愛いからいいんですけどなんでも。

★★★☆


夢見るシェークスピア(島あさひ)/芳文社・花音コミックス


映士は役者の卵。舞台のオーディションで元家庭教師の蒼先生と再会する。大ファンの脚本家の舞台に出られる事になった映士は稽古中も演出家とぶつかり孤立してしまうが、蒼先生に抱きしめられ思わずキスしてしまう。(O)


俺様

そろそろレディなあさひに会えるかと思ったたのだが、あさひはいつまでも俺のかわいいおチビちゃんなのだね…。某劇団の某氏の事を考えてしまい、大道具で何て事してんのあんた達っ!それはスタッフが寝ないで死にそうになりながら作ってるのよっ!と憤ってみたりするのだった。
ところで毎回ハードパンチャーなあさひだが、最近はすっかり慣れ気味で感想もダレ気味だよな〜と思っていたのだが、タイトルに一工夫したら一気に盛り上がる自分。「夢見るシェー!クスピア」とすると「ああ、あさひ!」「うん、あさひ!」「そう、あさひ!」と物凄い説得力が出てきた。さあ、みなさんご一緒に、シェーポーズをとるざんすっ!

じゃあな
 「あなたの隣の女の子」というキャッチコピーでデビューしたのは天地真理だっただろうか。私は漫画を読んでいるとよく「漫画家というのは、まあ、人物を描けるのはわかるけど、どうしてこんなものまでこんなに上手に描けるんだろう」と感心する。例えば正確な幅で描かれた正円ではない二重丸とか。素人の私には「どうやって同じ曲線をこんなに細い幅で引けるんだろう!」とびっくりさせられるのだが、あさひの場合、どうやって描くのかよくわかる。「あなたに一番近い漫画家」というキャッチコピーをつけてみてはどうだろう。身近な感じがして売れるかも。いやいや。吉田秋生がジーンズをラフなタッチで描いたとき「おお、新しい描き方だ」と新鮮に感じた記憶があるのだが、あさひはもっと斬新なジーンズの描き方をしていた。むしろ私なんかよりずっと遠い漫画の世界にいるのかも知れない。「超新星からのメッセージ」って感じ?
 で、内容ですが。表題作は激しくつまらなかったです。あと裏表紙の変な人たちは、羽鬼が獣になった時に「犬にしては脚が細いなあ。パピヨンの雑種かな」などと思いつつ「でも、ファンタジーだもんな。これはそういう、不思議な感じの夢の生き物なんだ」と納得したら、言っちまったね。「狼」と…。エッチの時の擬音が「ブーッ、ブーッ」って、これも斬新だなあ! と思ったら「ズッ、ズッ」ですか。ごめんなさい書き文字が汚いのでナチュラルに読み間違えてました。最後の、おさわりチカン電車だけは結構フツーに楽しめました。


神様の腕の中(ねこ田米蔵)/ビブロス・BBC


厳格なパブリックスクールの中で異教徒のマリウスは異端な存在だった。そんなマリウスの秘密を知ってしまった雨蘭はマリウスに興味を示す。(O)


俺様

おいしい素材が一杯詰まっています。設定は昔ながらのパブリックスクールですが、制服のデザイン等が古臭さを感じさせず良いですね。ただこの制服は着る人を選ぶ感じでもあります。
そして選ばれた人しかいないって感じかな。美しい学校で眼福だよな。こういう学校にありがちな閉塞的で陰湿な雰囲気はありませんが、滾る若さを手近で発散させたり、真面目そうに見せている奴が実はワルだったりと、古典的なポイントもちゃんと押さえています。
黄はエミリオには受だが、シオ相手には…と思ってたら下克上ありなの?OKOKちょーOK!!エミリオと神父の話も気になるのだが、シュトラウスも誰かとLOVEになるのだろうか…。シリーズで続けて行って欲しいですね。

★★★☆
じゃあな
 収録作第一話が悲しいお話だったので、勿論書き下ろしでフォローがくるんだろうと高をくくっていたら、そのまま置き去りにされて大ショック。世間の風は厳しいのね…。
 可愛い制服に寄宿舎で、国際色豊かに人種よりどりみどりだから、てっきりハリポタを意識したファンタジー設定なのかと思ったら、現代で、しかも最初の設定は日本だったと聞いてびっくり。この世界観でテレビ付けたら「エンタの神様」とかやっててガッツ石松とか出てきちゃうのは無理がありすぎ。雨蘭が「タケシ」とか「ツヨシ」とかいう名前だったらまだ納得したのだが…。
 黄とエミリオは私の好きな主従コンビなのに、どっちともどっちにも興味がない上に、どっちも攻って何なんだ。孤高のシュトラウスが一番タイプです。こういう厳格な人にはぜひ、ワルで! 片目隠れた黒髪のワルで! よろしくお願いします。そしてシオの神様はずいぶん寛容な方なのですね。戒律やぶってもシアワセならOKなんだ…。
★★★


神様の腕の中(ねこ田米蔵)/ビブロス・BBC


厳格なパブリックスクールの中でも、メレディス家のランスロットは気位の高い事で有名。そんな彼が従者として連れてきたのはいかにも田舎くさく子供っぽい少年だった。純朴で要領の良くないエッタは、従者としても役立たずで、ランスロットに叱られることもしばしばだったが、主人を慕う気持ちは人一倍。そんなエッタをランスロットも手放そうとはしなくて…。(J)


じゃあな

 一巻から引き続き、パブリックスクールを舞台にホモが結ばれたり結ばれなかったりする作品集。一巻での注目キャラだったシュトラウスは今回出番なし。残念。ランスロットとエッタは、嫌いじゃないけど、こういう、にこにこべそべそ赤面受が好きではないので、どうでもいい。バジル先輩とゲランは終わり方が良かったね。男の子同士の恋というのはこういうものかも知れないね。
 相変わらずエミリオと黄がオイシイのにそれぞれ別の相手を追いかけていて「ふん、それは若気の至りよ。卒業したらどうせ離ればなれよ。そうなったときに互いの存在に気づくがいいわ」と一人タカをくくる。青年実業家エミリオと傍らのやり手秘書・黄を妄想してやるせなさをやり過ごす。将来設計は黄×エミリオでお願いします。

★★★☆




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