東京野蛮人(桜川園子)/桜桃書房・GUSTCOMICS


童顔だが警視庁キャリア組の吹雪は新宿西署にて研修中。やはり刑事だった亡父に憧れて、周囲が止めるのも聞かずに現場に執着する彼は、大門組組長・大門影綱をめぐる抗争に巻き込まれる。(J)

じゃあな

 ごめん、桜川園子。前コミックス「シティ・ガーディアン」が出た時に「タイトルからして終わっている」「今、タイトルに『ガーディアン』や『東京』を使うのは、もうイケてない証拠」などと言ったが、まさかこんなタイトルのシリーズを持っているとは知らなかったんだ。本当に知らなかったんだよ!
 で、なんかこう「お金がないっ」風味だった本作。吹雪の水分量は凄いなあと思ったが、涙があれだけ出るんだからその他の体液がかなり増量なのもむべなるかな。任侠モノ苦手なんで合ってるんだかどうだかは知らないが、ヤクザ学の基礎知識満載という感じで丁寧に作り込んであり、またボーイズラブらしく力を抜くところは力を抜いてボカしてあって、読みやすく&読み応えがあった。吹雪の顔の崩れが気になるなあと小さくツッコみつつも、結構「やるじゃん」なんて思いながら読んでいたのだが、これはこれで寂しい。なんで。桜川園子がまともなものを描ける日が来てしまったの。いやだ寂しい。どう見ても息子と年齢の変わらない父親とか、森光子を超えたバケモノの童顔ミドルエイジとか、そういう超生物を続々繰り出しながら、勘違いと痴話喧嘩で一冊をまとめあげるのが桜川園子の魅力じゃなかったの?! と思っていたら、来たね本編最終ページ。最後の一コマに「なんじゃこりゃ」と素で呟いた。非常に期待の持てるダイナマイトガイ登場に、続編への期待が高まる。是非次作のタイトルは、私が禁じ手として挙げた「エンジェル」を使用して「警視庁エンジェル」にして頂きたい。

★★☆


秘密な関係(CJ Michalski)/芳文社・花音コミックス


やくざの跡取りである右京は二年前カケルの暖かさに触れる。海外からの帰国早々にカケルの元に駆けつける右京だが、カケルは借金に苦しんでいた。そんなカケルを右京は自分の立場を隠して助ける事になる。(O)

俺様

「恋も2度目だぜ」を買う時に目くらまし用にと一緒に買ったのがこの本なのだが…。全然目くらましになってませんね…。買った時にじゃあなちゃんと一緒で、「これ買っていい?」と聞いたら彼女かクルっとターンをして「いいよ」と言ってくれた。しかしその言葉はこの本に対してであって、きっと一緒に買った本に対してではないと思うがな…。ギャグ度合いが結構好きなのと勢いがあるのでサクサク読んだのだが、カケルちゃんがどんくさいから成り立つ変装で頑張る右京の想いは、的外れながらカケルちゃんにちゃんと届いていた。って何で私カケルの事ちゃん付けなんだろう…。事故で死んだ時に自分の名前を言わなかったからって幼子から母親取り上げた男が復讐するってのはどうなんだろうね。そしてその確執はカケルの一言であっさり解決。沙々木さんは右京についてしまって苦労していますが、私はあなたが一番好きですさ…。ところで後書きの若き日の沙々木の肩に担がれてはしゃいでいる右京にはトキメキました…。続編があるという事で、若き日の沙々木さんのお話よろしくお願いします。

★★☆
じゃあな
 相変わらず受にはビタイチ魅力を感じない作風だが、ギャグで攻がじたばたしていてくれればそれでもうオールオッケーという気がする。出てくるヤクザさん達のスーツがどれもこれもステキだった。よくこんなトーン…今まで捨てずに…。
 結構こういう「変身もの」は好きなので、右京の早変わりも楽しい。しかし本編を読む前に俺様の感想を読んでいたので、ほう、沙々木さんとはどのような人物かね、ほうこれかね、この人と坊ちゃんかね…と思いながら読んでいたら…ちっがーうだろ! パパだよパパ! どう考えてもこの物語は沙々木×パパ!!(ちがいます) 続編はササパパでお願いしますひとつ。
★★


丸ノ内ラプソディ(猫田リコ)/竹書房・BAMBOO COMICS


天下一の女ったらし・深実がある朝目覚めると、隣にいたのは部下の桜伊。しかもお互いベッドで全裸。何があったかは火を見るより明らかなのに、まるで思い出せない深実は必死で酒に奪われた記憶をたどるのだが…。(J)

俺様

この人は現代ものよりも大正浪漫といった感じの雰囲気のあるマンガの方が良い感じです。とはいえ今回は俺の心にメガヒット的な作品はなかった。おおっ!と思ったキャラも攻だったしな。(みんなわかるだろうメガネくんだ)でも全体的な雰囲気はいいのでどの作品もちゃんと読めてしまうのであった。後書き読むまでこの人が1誌でしか描いてない事に気付いていなかった…。T書房社長や家族にまで「やってけんの?」と心配されている猫田先生。もしや4コマ誌で見かけたのは社長の心配の結果っすか?

★★☆


TRAP(海老原由里)/心交社・ショコラコミックス


要人警護にあたっていた刑事の成嶋が、偶然再会したのは学生時代、サッカー部の後輩だった藤崎。かつて散々自分を好きに支配してきた藤崎の、どこかうらぶれた様子に驚きを隠せない成嶋だが、藤崎には更にもうひとつの「顔」があった。(J)

じゃあな

 半魚人的な口元の書き方には疑問が残るが、ボーイズラブとしては抑えるところ抑えていて優等生な出来映え。アンソロ掲載作品を集めたコミックスにしては読み応えがある。むしろ収録作「愛シテアゲル」などは、コミックスで読むとラストのオチに「えっ、こういう方向にいきなり?!」とたまげるが、雑誌掲載時にはこのくらいパンチが効いていた方が印象的でいいのかも知れない。そういう意味ではきちんと「読ませる」ことを意識していて、キャラクターも威勢良くついていきやすいからイイ。読者が引きがちなファンタジー物も手堅くさっぱりとまとめていて、続くコミックスが楽しみな作家。やけに地味な表紙から受けるイメージよりはずっと面白かったと言えるだろう。
 どこかで見たあんな作家こんな作家の絵にあちこち似ている為に新しい印象がないのが惜しい限り。

★★☆


恋愛言語学(高久尚子)/コアマガジン・drapコミックス


弓道部存続のために必死に部員を集めてくる完治だが、部長・副部長である兄と長沢がいちゃつくために未だ入部希望者はいないのだった。部員集めに必死な完治は新入生に弓道経験者をみつけるのだが…。(O)

俺様

私だってリリカル路線好きなんだい。タイトルからして何かとても頭の良い話なのかなって思っていたんだが、普通にラブラブですか…。いや、むしろ長沢頭ワルっ!古賀の弟が長沢を兄の恋人として受け入れている所は何か斬新だった。普通まず古賀弟が長沢を認めるまでの過程で1〜2話ぐらい引っ張ってもおかしくないんじゃないかなと思うのだが…。最終回は主役入れ替わっているし。私としても北斗と隼人の話の方が可愛くて好きなんだけどね…。(しかし、北斗と南って…)あとは古賀弟にも幸せが訪れると良いのだがね…。でも部内恋愛を認めている部活なので古賀弟の恋人もきっと男なんだろうね…。不慣れな恋ですがキャラクターだけでポイントアップアップでした。

★★☆
じゃあな
 タイトルと内容は何の関係もないようだ。絵もなんとなくかわいい、テンポもどことなくいい、キャラクターもそれなりにいい高久尚子だが、相変わらず決め手に欠ける感じ。つまらないと言うほどでもないのだが、作風に特徴がなく、読み終わるとほとんどの筋書きを忘れてしまう。何かこう、作者がキョーレツに「このキャラを描きたかった!」「この場面を描きたかった!」という執念を感じる作品を打ち出してくれたら結構面白くなるんじゃないかと思うんだけど。
 とりあえず、千津美と藤臣くんシリーズを読んで以来疑問に思っていた「ハカマをめくるとどうなるか」の一つの症例が発見できた事は収穫だった。
★☆


由里と由良(櫻井しゅしゅしゅ)/桜桃書房・GUST COMIC


由里と由良はロニーに拾われ血は繋がらないけど兄弟として育てられた。だが二人はお互い兄弟以上の感情を持ち兄弟以上の関係になってしまう。そんな時由良にボクサーとしてアメリカに渡らないかという話が舞い込んでくる。(O)

俺様

最近ある理由により血の繋がらない同い年の兄弟ネタに敏感に反応するようになってきた。櫻井しゅしゅしゅはトンチキ同盟の
先端を担う人物だと思っていたが、何だ普通のマンガも描けるんじゃんと一安心。しかし敏感に反応するネタなはずなのに、一番敏感に反応するのはジーノとロニーってどうなんだろう。早く若き日の二人の話が読みたいの〜。加速しているであろう電車から飛び降りた人と、その電車と同じ速度で自転車を漕ぎ、飛び降りてくる人を受け止めようとその人めがけ自転車から飛び降りる人ではどちらが超人なのでしょうか?そのあげく上手いぐあいに抱き締め合いキスまでするとはな…。ところでロニー。何で引取った子はみんな名前に「由」ってつくの? 何かのおまじない?

じゃあな
 どんどん絵がおかしくなっていく様な気がするのは気のせいか櫻井しゅしゅしゅ。内田姉妹の漫画だったら受確定デザインの由良の方が攻だったのはワタシ的には良かったが。
 カラー口絵で枯葉の上に転がっているヘルメットを見たとき「なんでこんなところにザクの頭が落ちてるんだろう」と思ったのは私だけだろうか。ジーノとロニーの物語にも、まあ興味はあるが、私はむしろ(少なくとも)五人の孤児を育てている割には余裕のあるロニーの暮らしぶりについても説明して欲しい。裕福なパトロンでも後ろについているのだろうか。後ろに…(今自分の言った言葉に小さく昂奮した。私生活に問題があるのかじゃあなさん)。


探偵物語(水月真兎)/雄飛・アイノベルズ


私立探偵の竜一には、養子縁組によって入籍した可愛い新妻・さくらがいる。仲睦まじい新婚の二人を邪魔するかの様に、かつての恋敵・新宮が依頼を持ち込んできた。可愛がっている妹が、婚約者とは違う男の家に押しかけて行ってしまったとかで…暴力団の勢力抗争渦巻く中で奮戦する二人の考えた「策」とは?(J)

じゃあな

 水月真兎は「ふ・ら・ち・な・ニューフェイス」を読んだときに「おお、ほとんどエッチでサクサク読める。コンビニエンスホモとして有効活用しよう」とチェックしていた作家なのだが、敵もさるもの。他はどの作品も超大作と言っていいほど長くて、うっかり手を出したら一生抜け出せなくなりそうだった。しかしようやく「一巻」と表記のある新刊が出たのでこれ幸いと手に取ったのだが、これもどうやら長い長いホモの物語の、第二章新装開店版であったらしい。
 大富豪の御曹司が元刑事で幼なじみの探偵のところに嫁に来て、誰も彼もに「俺たち新婚でーす、うふふ」と妄言を吐いているだけでも、それまでの物語の感動的な断片が伺い知れるが、それにしてもこの「人物相互関係の把握の出来無さ」は決して私が前作を読んでいないからでも読解力が足りないからでもなく、設定・世界観そのものにかなりの無理があるせいだと思う。収録作「姫君の休日」を、私は何度読み返したかわからない。読んでも読んでも人間関係がわからない。途中で「こんなにホモがいるわけがない、という思いこみが更に解読を難しくしているのだ」という事に気づいたが、虚心になってなおわからない事だらけだ。
 間違っているかも知れないが、多分、主人公二人の同級生であった新宮は、関西最大の暴力団「新明会」の組長の息子だ。そしてその妹の小夜香は関東最大の暴力団「正竜会」の跡取り息子・竜馬と婚約をしている。だが小夜香は実は、竜馬の腹違いの弟・由里に恋慕しており、由里はハーフで碧眼で十九歳だが「北辰会」の組長だ。しかし由里には美貌の恋人(男)がいるから、小夜香の失恋は確定。もっとも婚約者の竜馬にも義弟同然の情人(男)がいるらしい。…たった四人の登場人物のうち、三人が組長で二人がホモ(多分新宮もホモだが)。組長もホモも滅多にいるものではないと思うのだが、いっぱいいる上にいっぱいホモだ。段々私が今生きているこの世界の方が間違っている様な錯覚にとらわれる。出てくる人はみんな凄い肩書きを持ったホモばかり。頭がぐらぐらしてきたので、すみません第一話で読むのやめました。でも第一話を七回くらい読み返したから多分元はとれてると思います。
 ちなみに由里の情人の東堂貴臣というのは日陰の身が似合いそうな「闇に咲く花」で、それに対してさくらは「誰にも手折ることの出来ない光の花」らしい。そんなさくらの肛門も大抵「ゆうべあれだけ咲かせ続けた」「慎ましい花の芯」「淫らな花」だったりして、いったい作者の中で植物というのはどの様なものだと認識されているのか聞いてみたい。




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