狼は花と散る(佐藤ラカン)/二見書房・シャレード文庫


元ボクサーの明良は、引退を決意した後もリングから離れられず、弱小の日向ジムでトレーナーを続けていた。ある時、偶然出会った少年・耀司に天才的なボクサーの素質を見いだし、彼をチャンピオンにする事を夢見る様になる。(J)

じゃあな

 「カザン」が面白かったので買ったはいいが、ずいぶん長いこと放りだしていた一冊。なんとこの本はN.Y.に出張に行った際にも持っていき、そして現地でも読む事が出来ず、もう一度持って帰ってきたという曰く付き。こんなに長い旅をしたシャレード文庫が他にあるだろうか(あるかも知れないが)。しかし荷物になるからと捨てて来なくて良かった。私がなかなか手を伸ばさなかったのは、トレーナー×ボクサーだと信じていたからで、きっと荒んだ目の少年と中年男のトレーナーの心触れあう物語なのね…と勝手に思っていたのだが、まさかトレーナーが受だとは。しかも真面目、清潔、ストイックでありながら闘争本能を失わず、男にも女にもモッテモテの(なんと作中彼に好意を抱かなかったのは街のチンピラのみ!)無意識フェロモン爆発の30男に対して、16歳の駆け出しボクサーが一途にがむしゃらにテクニシャンに迫ってきてくれるとは。まあなんて素敵なんでしょう。ありがとうラカンさん…と、知り合いでもないのに「ラカンさん」と呼ぶのは、目黒に羅漢寺というお寺さんがあるから(通称らかんさん)。いつも看板を見ているものでつい。
 明良のモテっぷりが素晴らしく、耀司のガッツも大変よろしい。当て馬も粒揃いで、明良のかつてのライバルであり今は大手ボクシングジムの社長をしているやり手の青年実業家とか、Jフェザー級のチャンピオンとか、そんじょそこらの男子高校生とか、みんな明良のフェロモンにメロメロだ。モテモテ、甲斐性アリ、男前、と私の条件を全てクリアした受と、年下、ガッツ、しかしテクニシャンという私の条件を全てクリアした攻。さあシアワセにおなりなさいという祝福の気持ちでいっぱい。こんなに人の幸福を祈れるなんて、私ったらまるで天使。
 ストーリーも人間が気持ちよく描かれてい良し。第一話が明良一人称、第二話が耀司一人称だったので「まさか第三話は日向会長の一人称では…」と思っていたのだが、いやいや、やられましたよ(しかもあの書き出しには、大爆笑してしまいましたよ)さすがっすねラカンさん。目黒駅の看板によれば羅漢寺には沢山の仏像があるそうで、「あなたのらかんさんを探してみませんか」などと書いてあったが、今のところ本作者が私の心のラカンさんである。

★★★★
俺様
OKOKOK。挿絵と話がバッチリマッチング。また受がモテモテなのもグー。 攻の強引さも許容範囲内だし、何といっても明良に惚れてる人が、あらゆる タイプの人間なのが良い。しかしどこに行ってもウケウケフェロモンムンムンな 明良。ハゲオヤジから高校生まで何でもどーんとこいなのだが、本人はいたって 身持ちが硬く鈍感。そしてストイック。よし、よっしゃぁ、そのまま一生行きなさい。 話的にボクシングの事を事細かく説明しないのも話の流れを止めなくて良かった かもしれない。まあその前に読んだボクサーは緋色れーいちの所だから余計にな…。 気になるは明石と火村かな。ところで高校生をも惑わすおっさん明良なのだが、 まさか耀司が本当の初めてなんじゃ…。
★★
フェネギー
い、いいぜ!32才元ボクサー「自分は狼だ」と言いきるストイックな受!真面目すぎてまわりのギンギンな目に気づかずにキレイに生きてきちゃった受!しかも一度は花と散っておきながらも、狼のプライドは忘れず年齢やトラウマも省みずに立ち向かっていくところなんか、もう強烈に好みっす!くぅ!俺が耀司に変わって調教してやり たいぜ!はぁはぁ。い、いかん、興奮してしまった。とにかく魅力的なおやじ受を見 ると、30過ぎたってまだまだイケルんじゃん!人生捨てたもんじゃないな!と勇気が 湧いてくるのが良いね(って勘違いしすぎです)。本当は攻は、少年の耀司より大人 の明石の方が好きだが、明良が耀司を好きだと言うんじゃしょうがねぇ。今回は見逃 してやるよ、耀司、明良と幸せにな。
★★★☆
茶右
 面白かった!明良の魅力は他に語られている通り。もうとにかくイイです。あのストイックさが最大の魅力。 耀司も16歳でありながらガッツありで甲斐性あり。イイ男だ。 明良に心奪われちゃう当て馬達は種類も数も多くて、それぞれとの絡みにドキドキワクワクできると思います。 私はどちらかというと、デキあがったカップルに対しては、当て馬に邪魔されるより2人のラブっぷりを見る方が好きなのですが、 本作は言い寄られ具合と2人のラブ具合がいい感じで、男にも女にもモテモテな明良を見るのが思いのほか楽しかった。 時間の流れも試合の様子もテンポ良く進んで、勢いよく読み進められたのもグー。
★★★★


狼は花と散る2(佐藤ラカン)/二見書房・シャレード文庫


ボクサーとして復帰した明良と勝負がつかないままの耀司は、プライドと愛情の狭間で気持ちを持てあましている。一方、明良は、ブッキングを任せた明石に、実力以上に大きく取り扱われると苛立つのだが…。(J)

俺様

今回は耀司がモテモテくん。わかり辛い愛情ばかりだったけどね。すっかり身内扱いの日向にかわって新たなる敵として大江戸プロが 登場してきたが、耀司の試合のスケジュールを狂わせたり、巧妙な罠をしかけたわりに、決定的な措置として明良と同じ日に耀司の試合を組むという はたで見ているととっても拍子抜けな手段にはちょっと呆れた。 もっと妨害のしようってもんがありそうなのだが、まさか敵も本当に ひっかかるうえに、携帯電話一本で相手が立ち直るとは思っていなかっただろう。 っていうか、本当にそれで精神的にダメージ受けてる耀司はなんなんだ? 何のために色んな事を乗り越えてきたのかわからんぞ…。 耀司と父親のくだりはなかなかいいものだった。ただ愛情表現が下手な所は親子そっくりだが、以外と父は良い父親をしていた。火村は自分が本当に 好きなのは誰なのかと、自分以外の事をちゃんと受け入れないと、 いつか自滅してしまうだろう。カザンが登場したので、どんな活躍を見せるかと思え ば、 なーんだただのカメラマンなんじゃん。と、とても肩スカシだったのだが、 明良に「考えといてくれ」と言ったのは一体何の事なのか?もしかして明良の 写真集とか出すの?だったらずっとボクサーパンツ一丁でお願いしますっ! ところで挿絵を見て思ったのだが、カザンはまるで明良を誘拐するかのごとくおっさんだった…。カザンよ、お前の本当の年はいくつだ?いや、明良も…。

★★★


僕の救世主…かも(由比まき)/LEAF NOVELS・リーフ出版


徳彦は亡くなった両親にも「のんカメちゃん」と呼ばれる程 どんくさく、10年ぶりに帰ってきた街でちょっとボーっとしていただけでトラブルに巻き込まれる。だがそのおかげで凄い美人の御園桂と知り合うラッキーもあった。でも、その美人が自分の通う高校の養護の先生で男だと知り、桂に恋していた徳彦は ショックを受ける。(O)

俺様

私は頭がフル回転している時、腹が減るか奇行に走るらしい。 その結果がこれかい…。今日も楽しくチキンレース。誰も一緒に 走ってくれないレース…。どうして人は危険な匂いに惹かれるのだろう。 バカバカ俺のバカ。まあ、いつものようにとにかく凄いよ。うん。 知り合った美人は男でしかも超ジコチュー。出会ってすぐに徳彦を 部屋に連れ込んだ挙げ句に、下半身チェックまでするか? 逆光源氏計画って、あんた教師なのに犯罪なんじゃ…。 それに最終的には自分が受なんだけど、より良い攻に育てるためにはリバOK。桂はとにかく自分が良ければ全て良しなんだが、 誰もそれに反論しない所もまた凄い。本当に凄すぎて何にどう 突っ込み入れていいのかわかんないよ。人間ショックな事が あると些細な事は目に入らないものですね。あの凄い挿し絵で すら目に入りませんでしたから。ははん。

じゃあな

 くじけそうになる自分を叱咤激励しながら読みました。読みながら「何じゃこりゃあっ?!」「何じゃこりゃあっ?!」と、松田優作になり続けました。ジーパンと共に私も死にそうです。いくらさん、私、挿し絵に見て見ぬふりをする事は出来ません。何が凄いって構図が凄いね。147ページでは、うっかり、大好物のヤマザキコッペパン(ジャム&マーガリン)を喉に詰まらせて窒息死するところでしたよ。こんな危険なもの何の注釈もなしに販売しないで下さい。桂のキャラクターは…まあ、純情で可憐なお嬢ちゃん受よりは、いっそこの方がいいかも知れないなと言えない事もないが…。何で徳彦の部屋に幽霊が出るからって、レースの下着で幽霊誘うかな。「アイドルだけど純愛中!」の衝撃がペガサス流星拳なら、こちらは北斗百烈拳。まさに世紀末救世主伝説

きみぱん
よく最後まで読んだよな、と自分を褒めてやりたい一冊。 駅売りしているスポーツ紙のH小説を読んでる気分です。 天河未来じゃないがホントに「胸がキュンとなるホモは ないのかしら」と思いましたよ。 私は借りて読んだからいいけどね、定価でこの本かった人 は一生悔やんでも悔やみきれないんじゃないでしょうか。 でもこれよりももっとひどい作品ががあるんだからホモ の世界も奥が深いですね。
無星
天河未来
旅行先の京都のホテルで読んだのだが、今自分がどこにいるのかすらも忘れ去 る程の凄い本だった。「レースの下着」のインパクトが強すぎたあまり徳彦の 部屋にいた幽霊がどうなったのかよく覚えてないのだが、この本自体にも魔除 け効果があるんじゃないだろうか。どんな悪霊もこの本のパワーの前では退散するしかないのでは…(しかし悪霊のみならず、自分自身まで退散させられて しまいそうである)。本当にここまで凄いと文句すら浮かんでこない。完敗っ す。勝ちたくはないけど。


そんなキチクな君にLOVE(香月宮子)/ラピス文庫・プランタン出版


天野夏生は学園の変った校則に触発されたのか、 爽やかなクラスメイトの十条司にちょっぴりLOVE。 いつかモノにするぜと思っていた所に「EVE祭」での女装劇で 恋人同士の役に。ところがある事からキチクな本性を知り、 夏生は十条のされるがままになってしまう。 (O)

俺様

キチクとタイトルにあったのでどうせ夏生が十条 に酷い事されるんだろうと思っていたのだが、 別に、どこがどう酷いのかわかんないっていうか、 全然酷くないじゃんと思った。勝手にラブラブしてろよ バーカって感じです。はいはい、痴話喧嘩は喧嘩じゃないのよ。 それにしても夏生の一人称なんだが、それがあまりにもバカで たまらん。また理事長のアホさにも参った。普通一芸入学で百面相なんて許可されていいのか? 藤原と世良は慌てて嫌な奴になりましたという感じがする。 もちっと活躍させれたのではないだろうか?宮緒もね。



約束の日(水戸泉)/GENKI NOVELS・MOVIC


雨の日に冬樹に拾われた猫はマサヒロと名付けられる。 接するうちにマサヒロは冬樹のために人間になりたいと願い 土地神に頼みに行く。願いはかなったものの、突然人間に なったマサヒロに冬樹は驚くどころか、今まで通り名前を呼び 優しくしてくれるのだった。(O)

俺様

要所に水戸泉テイストはちゃんと利いているのだが、 どうもトントン拍子に話が進み過ぎる。何と言っても 意識不明の雅裕が突然目の前に現れたからといって、 誰にも内緒で部屋に匿っていた冬樹はおかしい。 普通病院行って確認するんじゃないかなぁ? そして自分は猫だと思っていたマサヒロが、実は 本人が意識不明の間に猫に憑依していたっていうのも 何だかなー。何よりもそこらの高校生である川崎が 代々とはいえ土地神だというのも、言い張った方が 勝ちって感じで納得いきません。どうも前編だけの 短編で終わらせた方が良かったのではないかと思う。 後編に出てきた藤村先輩が唯一「ああ、水戸泉」と 納得出来るキャラクターだった。



月無夜(水戸泉)/アイスノベルズ・オークラ出版


伸也は父親の願いで田舎である長崎に引っ越す事となる。 引越し当日、庭で少女と見間違えてしまうような少年 克己と知り合う。克己は伸也の家の隠し部屋にある 紅い着物姿の美少年の絵にひかれていた。 夜中に目を覚まし克己を探しに出た伸也が隠し部屋で 見たものは…。(O)

俺様

えーっと、天草四郎をモチーフにしているんだけれども…。 天草って名前を出さない所がミソって感じですか。 ああ、読み終わってから気付いた。どうして神父の洞口が お払い出来たのか。読んでる時は何で神父がお払い?って 思ってたけど、そうか、そうか、隠れキリシタンだからか。(今頃気付くなー)なーんだ、つまんねー。 キャラクターとしては神父である洞口の背景が全然書かれていないので、 もしや今後もこういった呪い関係の話しに出て来るのかな? と期待出来ますが、どうも薔薇シリーズの砂倉にはかなわないようです。 (そりゃ砂倉は最強だもんな) 話的には克己の父親の性的虐待やそれに対する報復や呪いなど盛り沢山ですが なーんか「うーん、ありがちねー」で終わってしまいます。 とりあえず水戸泉的オチとして主人公のどっちかが狂うってのは食傷気味ですね。



新橋烏森口午後七時(石田育絵)/冬水社・ラキッシュコミックス


同僚の富岡に誘われて出かけた「ワインの夕(ゆうべ)」。朋樹はそこで同じイトウという苗字の、洋輔と知り合う。それをきっかけに親交を深めていく二人だったが、やがてそれぞれの思いに気付く事になる。(J)

じゃあな

 やっと納得出来る石田育絵を読めた。今まで読んだあたりは、どれも作風が好きなのに内容が今ひとつで、どうなってるんだいと思っていたが、ここでようやく石田育絵との冷たい闘いに終止符が打たれた(あと私が決着をつけなくてはいけないのは、松崎司と直野儚羅だな)内容としてはゆっくり描かれたサラリーマン初恋物語ってところだが、世界観も優しく、朋樹のモノローグが独特の雰囲気を出していていい。二時間ドラマとかでやって欲しい。キャラクターのデザインも典型的ながら魅力的。富岡さんが男前でかわいいね。服装や髪型にも気を遣って描かれていて、こうやって女の子を丁寧に描いてくれると漫画自体の格があがるというもの。しかし、新橋烏森口…まで書くとどうしても「青春篇」とつけたくなるな。

★★★
天河未来
今この瞬間にも、こんな恋が街のどこかで生まれてるのかもしれない…と思っ てしまうような、地味だけど優しい物語。登場人物がみんな良識ある普通の人達なので、親近感が持てます。朋樹と富岡さんの関係もなんだかいいなあ。読み終わった後に爽やかな気持ちになれる、ホモマンガ界では貴重な一作でした。(私の場合、「僕の救世主…かも」の後に読んだので、 余計にココロが洗われた(笑))
★★★
俺様
仲の良い二人が何をするのにも一緒で回りの友達から 「お前等デキてんじゃないのー?」と囃し立てられ、 それに惑わされ「これって恋?」と勘違いにトキメキ出して しまったようなそんな感じ?出会ってすぐやっちまって それから告白、実は俺もお前にLOVEみたいな話と比べると お互いの気持ちを大事にしているので、なかなか良いのだが どっちかがもっと強引でもいいのではないかと思う。 気になるのは男前一番の富岡さんがどうして三浦なんかが いいのかという事と、総合職なのに制服を着ているという事だ。 あと、総会屋云々の所も気になる…。もちっと会社社会を 勉強して欲しいかなー。
茶右
 久しぶりに優しいサラリーマンに会えました。 富岡さんと朋樹の掛け合いも良いし、洋輔ににっこり微笑まれるとほやほや〜んと心に染み入るような感じ。 ラストも爽やかで、ホモと呼ぶにはまだ淡い2人の感情が、この先どうなっていくのかしらと見守りたくなるような気持ちになりました。 敢えてもう一歩というなら、朋樹にとって、富岡さんも洋輔もどちらも一緒に居て心地良い親しい友人であるのに、その気持ちにこっちは友達、 こっちは恋愛と違う変化をもたらせた要因はなんだったのか、もうちょっと描いてくれたらな、というところでしょうか。
★★☆



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