ボクサーは犬になる(剛しいら)/光風社・クリスタル文庫


18歳の若きボクサー・徹は、ランニング中に二頭のドーベルマンを操る外科医・加藤に騙され、拉致監禁される。全裸で地下室に閉じこめられた徹だったが、加藤の孤独に触れて次第に心を許す様になる。しかしボクシングへの情熱は何としても抑えられず…。(J)

じゃあな

 粗筋を読んでも書評を読んでも絶対駄目だと思っていたのに、石原理の挿し絵が気になって仕方なかったシリーズ。「駄目よ、駄目に違いないわ、私はそんな、監禁されて攻に惚れちゃって『俺は先生の犬だ』とか言っちゃう様なボクサーは絶対認めないわよ、でも気になるのよ、いいわ、こうなったら挿し絵一つでどこまで私を騙せるものなのか試して貰おうじゃないのよ、さあ!かかってきなさい石原理!」と、石原理への挑戦として購入してみた。
 第一話はあまりにも従順で無抵抗な徹に呆れながらも、文章が淡泊で読みやすい為つらつらと読み進んだ。第二話で再登場した徹が、俺の心にストライク。おかしい、何もかもアウトな筈なのにどうしてストライク。だっていい子なんですもの、真面目で素朴で。勉強が苦手だから辞書を引きながら一生懸命辰吉の本を読む18歳。可愛いじゃありませんか。吃音癖があるから人付き合いは苦手だが、誠実な優しさがあって懐無限大。しかもリングの上では闘争心溢れる男前だ。加藤なんぞにくれてやるのは勿体ない。お姉さんが今からもっといい攻を探してあげます。はっ、そうよ。同じ石原理挿し絵仲間として、あなたが鵙目とつきあうってのはどうかしら。鵙目も黒羽には勿体ないと思っていたところだったのよ。人生を前向きに、優しさと思いやりを持って生きる者同士、手と手を携えて強く生きていってはどうかしら。…でも盗聴癖のあるヤクザと、緊縛趣味のある外科医が追いかけてくるっていうのは凄く怖いな。ちぇっ。カインとアベル(ドーベルマン)も可愛いね。
そういうわけで、徹の六回戦勝利記念に星半分サービスさ。

★★★☆
フェネギー
ドクター加藤、そこへなおれ!目にもの見せてくれるわ!天誅!バシッ!さあ、 ボクサー徹くん、変態ドクター加藤のことは忘れて私と来なさい。今度は私が君を可愛がってあげようじゃないか。と、そんなことを言いたくなる話だ。徹は 「俺は先生の犬だ」と言っているが、その通り君は犬だ。人間だったら加藤を好 きになるわけがない。そろそろ加藤を卒業して次の恋に生きてみないか?いずれ 読者が「そうそう、徹の最初の相手って加藤っていう医者だったんだよね」などと思い出話をするような立派な人間の男に成長してほしい。加藤が相手では純愛 など片腹痛い。でもきっとこの二人は別れることなくシリーズとして突き進んで いくんだろうな・・・。ちぇっ。
★★☆
俺様
読むのにこれほど時間のかかる物とは思わなかった。 すまん、俺にはダメだ。徹は読み進めば確かに可愛い。 バカで一途で一生懸命で、見ていて微笑ましい。しかーし、 どうしても納得いかんのは加藤を愛しているという事だ。 徹、お前にはもっといい攻がいるよ。いいじゃん加藤なんかやめちまえっ!カインとアベルよ、いつか徹のために加藤を 噛み殺せ。俺が許すっ!行けっ!カインとアベルっ!!
茶右
自分はこうしたい、これはイヤ、とはっきり伝えることって難しいのに、 吃音を気にしながらも、ちゃんと言葉を使って意思を伝えようとする徹はなんて男らしいんでしょう。徹の実直さとひたむきな姿には憧れさえ覚えました。 それに引き換え、加藤は全体的にかなり情けない奴。なんだけども、私はなんだか 彼を許してしまった…。最後には、こいつも可愛いトコあるじゃないか〜、 情状酌量の余地ありかな〜って思っている自分が居ました。なぜ…。 ただし、加藤のことは認めても、徹の相手としては役者不足なことには変わらないのですがねぇ。 でも徹が加藤がいいって言ってるんですもの…。
★★★



ライバルも犬を抱く(剛しいら)/光風社・クリスタル文庫


外科医・加藤と、その二匹の愛犬とともに暮らす駆け出しのプロボクサー・徹。ライバルである西条東を目指して日々トレーニングを続ける徹には、最近新しいトレーナーがついた。元オリンピックメダリストの西崎トレーナーは、徹に世界チャンピオンの夢を見る。(J)

じゃあな

 徹は相変わらずいい子だ。加藤には素直すぎるくらいいい子だ。そんな変なおじさんの事は、まともに相手をしてあげなくていいんですよ。腕から血をだらだら流してかつぎ込まれた急患に対して「で、原因は何なのかな。まさか夜の路上で、ダンスの練習をしていたわけではないんでしょう」とは、加藤…ジョークさえもつまらない男…。加藤に比べれば東の方が、いや今巻から登場したメガいい人・西崎の方が。いや、犬だって加藤よりは。あまりのしょーもなさに嫌いにもなれない。懐広い西崎の優しさがメガバイトなら、加藤の情けなさはギガバイト。超級だ。加藤よ、次巻では少しくらい大人げを見せてくれ。

★★★
フェネギー
ああ徹、あなたはなぜ加藤なの?ああ加藤、あなたはなぜ変態なの?こんなに素 直で純真で優しくてまっすぐな徹を加藤ごとき自己中変態にまかせておきたくな い。徹、肩を並べて生きていける西条東にしようよ。もしくは度量があって話も 合う西崎トレーナーにしようよ。恋人はちゃんと選ぼうよ。今はまだ未成年だか ら(もう18才だけど)保護者的で支配的な加藤がいいと思っていられるかもしれ ないが、いずれ徹も男として自立したくなるんじゃないか?そんな時、加藤じゃ いかんだろう、加藤じゃ。話は結構おもしろく読めるのに、加藤の狭量さがすべ てをチャラにしてくれる。ところで西崎トレーナーいいよね。石原理の絵にする となおさら受にしたいくらいいいよね。いっそのこと加藤×西崎ってのはどうだ?
★★



ドクターは犬を愛す(剛しいら)/光風社・クリスタル文庫


順調に勝利を重ねると徹と、殴り合いであるボクシングをどうしても好きになれないまま、それでも徹の試合を見てはその美しさに惚れ直す加藤。 そんな2人の前に、2人を執拗に追いかけるカメラマン・牧内が現れる。 西条東とそのお目付け役・坂本との番外編を含むシリーズ第3巻。 (C)

茶右

 今巻は、ドクター×ボクサーシリーズ3巻目ですが、読み終えるまでこれが2巻なんだと疑わなかった私…。 いえ、西崎とか元トレーナーさんとか、誰だ?居たっけ〜?と思ったことは思ったのですが、あまり疑問を持たないで読むことができたからで しょう。いちいち丁寧に登場人物説明はされないのですが、文中でさらっと紹介されていて、読者が置いてけぼりにされないので、もし今巻だけ 手元にあってどうしよう〜という方がいらっしゃったら、是非読み始めてください。今巻だけでも十分にキャラクターの特徴が伝わってきて、 別にこのままこの巻だけでも十分面白いです。もちろん、123巻と読んだ方が各登場人物に思い入れもできていいのでしょうが。
 で、作品ですが、徹の成長が嬉しい。元々素直で前向きないい子だったのに、今巻ではそれに自立心とか、他人に対して臆すること無く 向き合う男らしさが加わってて、輪をかけて素敵な子に成長しています。嫉妬も覚えちゃって、可愛いさもアップですよ。 対する加藤は、内にこもったあの性格がちょっとは外に気を向けられるようになって、まぁ成長しているのかな。 でもやっぱりなぁ、人としての格差が…。加藤のちょっとくらいの成長では、徹の成長には追いつけなくて。 ますます出た2人の格差に「加藤に徹はもったいない〜」の気持ちが増すばかり。もうそれだけが惜しくて。 東や西崎や相馬やらずっといい男がいるのに、でもやっぱり徹は加藤がいいって言うんですもの…。 ああ、1巻と同じ感想になっている…。でも悔しくとも徹の男前度アップに星半分追加です。

★★★



ゴールデン・ルール(川原つばさ)/角川書店・角川ルビー文庫 全四巻


人間の血液を糧とする一族の、次代の長であるアルフレッドは人間の世界でバイクレーサーとして活躍していた。彼のお目付役として故郷から共に出てきたミルは、一族としての血が薄く、病弱で成長も著しく遅い。いつまでも子供のままのミルは、健康で強靱なアルフレッドとの距離に苛立ちを覚えていた。そんなある日、一族の秘薬を飲んだミルの身体に異変が起こり…。(J)

じゃあな

 世界は広い。この世に林先輩と同じくらい頭のおかしい当て馬が存在するとは。それはミルに横恋慕するバイの小説家・ディック。林先輩と違って彼はそれなりにいい思いも出来るのだが、林先輩は彼ほど命の危険に曝されていないのだからどちらがより幸福かはわからない。まだミルが幼いうちから狙っていた彼は、たまたま怪我をしたディックの血を舐めて恍惚としたミルを見て、ミルは血を見ると興奮するタチなのだと思いこみ、血液プレイまでセッティングしてくれる。阿呆かアンタ。サービス良すぎです。アルフレッドに踏み込まれて、頭蓋骨に一撃くらって血まで吸われて(私はここで彼が死んだと思いました)意識のないところに口に酒瓶つっこまれて急性アル中だと通報され、そこまでされても「愛しい君へ…」とカードを添えてミルに薔薇の花束を山ほど贈り続ける彼の気持ちは私には到底理解しかねる。二人が吸血鬼だと知って、殺されかけたにも関わらずアルフレッドのマネージャーになって駆け落ちにまでついていくとは、おいおい、そこは引くところだ。押すところじゃない。私は彼が同じ人類である事を遺憾に思う。どこの吸血鬼でもいいから、頼むからこの男をひきとってくれ。ニキ、そうだニキならまだ彼に洗礼が出来る筈。どうぞ持っていって。アランでもいいや。お願い仲間にしてあげて。ねっ。
 ディックはともかく、主人公の二人であるが、薬を飲んで大きくなったミル(=ノアール)をそれと知らずにアルフが手をつけてしまい「自分はどうしてノアールに手を出してしまったのかしら?あっ、まさかミルに似てるからじゃ?!」「アルは自分じゃなくてノアールが好きなんじゃないかしら?ひどい、あんまりだ!」と切なくじれじれしている間はなかなか面白かったです。メルモちゃん、メルモちゃん…。

★★★




タクミくんシリーズ(ごとうしのぶ)/角川ルビー文庫


全寮制男子高校生の葉山託生は兄からの性的虐待のせいで人間接触嫌悪症。2年 で同室になった崎義一は皆からギイと呼ばれる美形の人気者。そんなギイが託生 に好きだと告白してきた。(F)

フェネギー

わかっているのよ、人気作品よ。本当は読んだ人が泣く場面なのよ、だけど私の怒りの鱗に触れちゃったのよ。JUNE連載当初に読んだ時もまったく私の心の 琴線に触れなかったシリーズだけど、おおや和美の表紙と挿し絵で 文庫化されたので「もしかしたら挿し絵マジックで面白く感じるかもしれない」 と読破するつもりでまとめ買いしてしまった私が愚かだったのね。ごく普通に読み進めて、唯一のノーマル赤池章三が一番いい男だな・・・などと思っていたところで止めておけばよかった・・・。5巻目の「虹色の硝子」で私は口をあんぐ りと開けたさ。そして腹が立ったさ。そう、逆鱗に触れてくれちゃったのさ。だ って聞いてよ!ギイの友達の鈴木が死ぬ病気で入院するからって鈴木が片思いしていた後輩と話す機会をみんなで作ってあげたら実は後輩も鈴木を好きで、成功率がゼロに近い手術をひかえた鈴木と後輩ったら一気に盛り上がってセックスして鈴木の血が止まらなくなって死ぬんだよ!鈴木は一度出血すると血が止まらな い病気なんだね。えーっ?鈴木が受だったの?!っていう驚きよりも何よりも、やったら死ぬのにやる二人にあきれる。突っ込むだけが愛なのか?え?そうなのか?受・攻の役割分担って命かけてまでこだわるようなものなのか?後輩、おまえが受になればいいんじゃないか?百歩譲ってどーしてもやりたかったんだから 仕方ないってことにしよう。命を奪っても仕方ない程の愛なら後輩、おまえも後を追って死ね。それができないならおまえのそのイチモツを根元から切って墓前に供えろ。ソレもう必要ないだろう?純愛を捧げた相手はおまえのせいで死んだんだから。私には「ふたりの気持ちがわかる」というタクミくんの気持ちはわか りません。何よりこの話が美しく哀しい純愛物語として描かれているのが気に入 りません。「どーせ死ぬんだからやっちゃおう」という話のどこが純愛なんでし ょう?鬼畜で野獣で命懸けという話なら許せたことでしょう。そうですね、私の 怒りの鱗って変なところにあるんでしょうね。「そこ怒るところじゃないよ、泣 くところだよ」という大多数の人々の声が聞こえます。でも私はこの作品以降の タクミくんシリーズを読む気力がなくなりました。買ってあるのに。(ちなみにこのシリーズ、ギイ×赤池章三だったら私のツボだったろうな)




レジーデージー(月村奎)/白泉社・花丸文庫


田舎の町に引っ越した人気ミステリ作家ユニット「ワンプラスワン」の片割れ、大須賀一夜。才能ある相棒と比較して自分を卑下する内向的な彼に、ずけずけと近づいてきた奇妙な男。隣人だというその青年は実は、人気俳優の川嶋大志だった。(J)

じゃあな

 前回「ブレッド・ウィナー」で挿し絵に不満を持っていたので、今回ははじめから挿し絵マジックを狙って購入。ストラーイク。ナイスバッテリーだぜ月村奎&依田沙江美。これは大きい、回れまわれー。バッチこーい、バッチこーい。いや、何言ってるのかよくわかんない人になってますが私。どちらかというと、こんな風に興奮する話ではなく、しみじみと面白かった。根っからコンプレックスが染みついているので、何かにつけて人の裏側を探り、自分の浅はかさを嗤う一夜だけどそれが作風を暗くもしつこくもしていない。一夜自身も気付かない彼の善良さや前向きな姿勢が、大志が引用してみせる一夜の小説のキャラクターの言葉を借りて、巧く表に引き出されているからだ。
  作者は「私にしては設定が派手」と後書きに書いているが、たとえ人気俳優と人気ミステリ作家が出てきても、二人のやっている事は餅つきに町内リレーである。地味すぎる事この上ない。限りなく地味で素朴だが、文章のセンスが良くウィットに富んでいるのですらすらとテンポ良く読める。幕切れも潔く、よござんしたよ。

★★★★
フェネギー
しみじみといい。・・・とは、挿し絵を描いている依田沙江美の作品に対して使った言葉だったが、月村奎も同様な良さを持つ作家だ。(あ、じゃあなさんも同じ表現 使ってるね。読むと皆しみじみするのかもしれない。)1ページ目の「身体中の空気 がしぼしぼと抜けていく」という表現を読んだ時に、この人の文章はとっても好きな タイプかもしれないと思った。ら、ちゃんと最後まで期待を裏切らない私好みの文体&世界観を貫き通してくれた。なぜ「レジーデージー」というタイトルなんだろうと ぼんやり不思議に思っていたら、ラストの2行でちゃんとリンクする。そして読後感 がさわやかで気持ちいい。最後の一文がうまい人っていうのが「本当に小説がうまい人」の条件のような気がするフェネギーであった。嬉しいなぁ、こういう作家がホモ業界にいたんだね。世の中捨てたものじゃないね。一夜がいいよね〜、一夜が。一夜 の書いた小説を読んでみたい。ただちょっと不満があるとすれば、途中で出てくる大志の元相棒・類くんの登場が唐突でご都合っぽいところかな。退場の仕方も類の背景もなんだかよーわからん。たとえれば他の作品の主役の人が隣のスタジオでやってい るドラマにゲスト出演してきて「僕のことが知りたかったら木曜9時からのドラマを 見てね」と言って去って行くかのようだった。でもこんな不満はなきに等しいくらい 上出来な作品でした。あ、そうそう、エッチシーンも面白かった。突入するまでのや りとりがいいねぇ。一夜かわいいねぇ。くすくす。
★★★★☆



ホットラインで恋をして(緒方志乃)/プランタン出版・ラピス文庫


自覚あるスチャラカ社員の村越は、仕事よりもパソコン通信で知り合った「由依子」と名乗る相手とのメール恋愛に夢中。そんな彼がコンビを組まされたのは、ボサボサ頭に眼鏡で、無口で冴えない東謙一郎という男。鈍くさい東にイライラさせられていた村越だが、ある時クラッシュした村越のマシンを東がリカバリーしてくれた事から、二人は親しくなっていく(J)


じゃあな

 うーむ。全然面白くないのだが、あちこち叩けばどうにかなったかも知れないのが惜しい。この作者は同人誌のパロディのジャンルで5〜6Pくらい書かせるなら、結構面白いものを書くだろう(めちゃくちゃ言っとるな私は)そんな具合に、時折キラリと面白さの片鱗を覗かせてくれるのだが、あまりにも時折なのでこれは私の勘違いかも知れない。わからん。読めない作家だ緒方志乃。
 
中盤、村越が仕事に燃えたところで、東と二人で企画を成功される方向に話を持って行ければもう少し格好がついたかも知れないが、それをやるには作者の筆力が明らかに不足。担当編集者が何とか膨らませてやれよ。とりあえずカップリングは逆が良かった。「由依子」についても、もう少しヒネリが欲しかった。ラピスでこのHってのも如何なものか。




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