欲望少年(直野儚羅)/竹書房・BAMBOO COMICS


忍の初恋は隣家のお兄さん・優さん。女ばかりの家庭で育った忍は、口うるさい姉たちのようなガールフレンドよりも、やさしい優さんといる方が、ずっと居心地がいい。でも、忍が十七歳になった頃から、優さんは距離を置くようになって…。(J)


じゃあな

 物凄くどうしようもない話でも、絵がタイプなら結構読めるんだな…と非道い感想を抱いた一冊。表題作連作はそれぞれどっちが攻で受なのか、本番が始まってもなおわからなかった。二作目に至っては「俺が襲うよ」と言ってる方が受で、どこまで焦らすのか直野儚羅…と思った。
 他収録作はリーフノベルズが原作デスカ? みたいなしょーもないファンタジー。これホント直野儚羅が描いてなかったらマジ読み通せなかったかも。海が危険だ、と言われていた理由を見たときはびっくりしたけど。なんだその海…!!
 はじまってから2P使って親子丼の説明をしていた「愛と沈黙」にも相当げんなりさせられた。なんだよ今回、ワタシ的アタリなしかよーと思っていたが、最後が作者の本領発揮のニコニコオヤジ受だったからまあいいか。メガヒットはないけど、まあ読めます。これで絵がダメだったら手首のスナップきかせて、ゴミ箱直行便だけど。

★☆


いっしょに暮らそ(みはしあん)/あおば出版・インファナルコミックス


風呂ナシ・トイレ共同のボロアパートで暮らす佐藤は、夜ごとの騒音に悩まされていた。来る者拒まず・男女を問わずのウリセン・五野上が、住人相手に「商売」をしているからだ。
身体的なコンプレックスから他人との接触を避けてきた佐藤には信じがたい行状だったが、一方五野上は、自分を性的な対象として見ない佐藤との関係に居心地良さを感じるのか、やたらとつきまとってきて…。(J)


じゃあな

 人として間違っている発言だが、最近身体の不自由な受に弱いワタシ…。全般的に気が強くてしっかり者の佐藤さんが、慣れた感じで「いつもの熱だから」と自分のハンディキャップをやり過ごすのに少々萌える。
 佐藤さんの頑なさと、五野上の明るさ。逆に五野上のフラフラしたところと、佐藤さんの堅実さがバランス良く、「絶対ダメだろ、たいした事ないだろ」と見くびっていた割には面白かった。このリバはアリだな! と思ったし。

★★☆


眠れない夜のすごし方(雪代鞠絵)/幻冬舎コミックス・幻冬舎ルチル文庫


親友の啓一に彼女が出来てしまい、失恋した高校生の佳。やけ酒をあおってふらふらしているところを通りかかった青年二人に介抱されるが、あやまって一人に怪我をさせてしまった。
カフェのマスターだという美青年・香澄に怪我をさせたのだから、バイトに入って彼を助けろと、香澄の従兄弟だという峻は厳しく佳に命じる。慣れないバイトで佳の奮闘が始まった。(J)


じゃあな

 恩を仇で返そうシリーズ第一弾。BBSで紹介してもらったオススメ作なのだが、読み始めるなり、ふるいついてしまった。…香澄さんに。
 私の大好きな美人でやさしいマドンナ受! 頭の中で素早く計算をめぐらせる。この高校生は受だろう。て事は、峻が攻か。よし、お前らの話早く終われ。併録の読み切りで香澄さんメインで番外編行ってみよう…と、そこまで計画は出来上がっていたのだが、物事はまったく、私の思う通りにはいかなかった。
 カメラはいつまでも佳と峻を追い続ける。こうなると全てが腹立たしい。誤解が解けてからの峻はデレデレしすぎだ! 大丈夫かお前! 息子がアル中になろうが、家中ゲロになろうが気づかない佳の父も大丈夫か!
 もう啓一、お前今すぐ香澄さんに惚れろ。激しく惚れて彼女捨てろ。そんな私の呪詛も届かず、本編ではいつまでも高校生と医者がイチャイチャデレデレ…。
 あげく佳のヤツはまた香澄さんに怪我を! お前実は香澄さんを殺しに来た刺客か?! 何か恨みでもあるのか?!
 ハイ、冷静に判断すれば、そんなに悪い話ではありません。佳は佳なりにエロゲみたいな名前のカフェで良く頑張っていました。心のすれ違いやアクシデントなど、波乱も程よく盛り込まれていて飽きさせません。…普通に読む分には。
 きっとあの後、啓一は彼女と別れました。そして激しく香澄さんに迫っています。私の中ではそういう事になっています。そういう話がでたら、また誰かオススメとして教えて下さい。トホホ。

★★☆


男の激場(虎丸)/オークラ出版・オークラコミックス


祐麻は自分も道場のあととりのくせに、ライバル道場の師範代・斎月にメロメロ。斎月もそんな彼の事を憎からず思っているのだが、道場で抱き合っているところをお互いの父親に見つかったからさあ大変。道場の存続をかけて、勝負することに!(J)


じゃあな

 ベイビー、いつまで待たせるつもりだい…という事で「次はぜったいブレイクする!」と言い続けてきた虎丸、待望の新作。ごめん、不発弾。なぜだ、絵はそこそこになってきたし、せっかく斎月はロン毛なのに…。なんかイマイチだったなあ…。
 虎丸独特のバカバカしさが足りない。こちらにツッコむ隙を与えず、たった一コマの中で一人でボケてツッコミまたボケるあの不可思議なパワーはどこへ行ったのか。そういう意味では一番虎丸らしくて良かったのは短編の「それは蜜の味」か。。

★☆


灼熱のハイシーズン(秀 香穂里)/徳間書店・キャラ文庫


ふられてやけ酒を飲み過ぎた工藤は、親身に相談に乗ってくれた男と勢いで一夜をともにしてしまう。ところが、就職した旅行会社の先輩がまさにあの夜の男だった! あの夜の事などまるで覚えていないかのように、切れ者の先輩としてビシビシ指導する仁科に、それでも惹かれてしまう工藤なのだが…。 (J)


じゃあな

 恩を仇で返そうシリーズ第二弾…すみません…。私の好きな「働くホモ」で、真面目にきちんとお仕事しているのだが、何だかハマりませんでした。
 仁科はそれなりにカッコイイのだがインパクトがない。工藤も新人な割に元気がなく、かと言って内向的なわけでもない。どっちも大人しめに没個性。ストーリーも盛り上がりがなくて、キャラか設定かストーリーか、何かパンチが! インパクトが! 惹きつけるものが欲しかった。
 工藤が二丁目で、オカマのママの帯を見て「その帯、素敵ですね、名古屋帯でしたっけ」「若いのに着物のことをよく知っているのねえ」というやりとりがあるのだが、私にはなんだか不思議だった。織や染を誉めたり尋ねたりするのはわかるが、名古屋か袋かというのはまったくどうでもいいことではないだろうか。確かに、見ただけで名古屋か京袋かわかる、というのは、呉服問屋ばりのものすごい観察眼だが。
 ゲイバーにしろタヒチにしろ、書けるものだけ書きなよ、と言いたくなるのは、漫画でも小説でも同じということか。とってつけたようだが、工藤と兄のやりとりは良かったです。

★★


家賃(月村 奎)/新書館・ディアプラス文庫


遼が教員として勤める中学校での目下の話題は、卒業生の人気アイドル・望月和哉が飲酒喫煙でスクープされたことだ。教師はそれ見たことかとあきれ顔、生徒たちは芸能界を追放されてしまうのかとやきもき。そんな「時のひと」・和哉が突然、遼のアパートに転がり込んできた! 「寮を追い出されて行くところがないから」という横柄な居候を、遼は追い出すことも出来ずに…。(J)


じゃあな

 掲示板で「たすけてくださーい。オススメの本を教えてくださーい」とセカチューシャウトをしたところ、続々とオススメの声が寄せられたのが本作である。あたかも、プチ・オブジイヤー状態。2006年1月のトップはまさに本作であっただろう。
 まあ、あまりハズレのない作家なので読んでいてそれなりに楽しいのだが、今ひとつ惚れ込まなかったのは、私にはあんまり和哉が可愛く思えなかったからか…。
 和哉はあんまりにも子供でワガママ。さすがに月村奎なので、彼のそんな態度にもそれなりに納得出来る理由はあるのだが、それにしたって礼儀知らず。一方、遼は包容力があって優しくて、フツーにステキ。まともな大人という感じ。このステキな殿方は、こんな子供のために道を踏み外さないでくれと思わずにはいられない。
 遼と生徒達のやりとりの方が、学園物として微笑ましく読めるので、いっそ和哉は更正して社会復帰してめでたしめでたし。そんな遼先生の学園日記「三年B組家賃先生」の方が良かったな…とすら思ってしまった。私にやんちゃ受は無理だった。たとえオレサマ風味であっても。

★★☆


総理と呼んでくれ(夏木ひまわり)/心交社・ショコラノベルズ


議員である伯父からの命令で、一介のサラリーマンに過ぎなかった雅彦は内閣の報道官をつとめることに。現在の総理大臣は「世界一魅力的な首相」と言われる飛鳥伸輝。史上最年少の首相であり、雅彦にとっては学校の先輩…初恋の人でもあった。見つめているだけだった雅彦のことなど総理は知るよしもない筈なのだが、初めて会うなり彼はキスを迫ってきて…?!(J)


じゃあな

 こういう、張り切った設定のものが読みたかった。もうヤクザとアラブの王子様には飽き飽きしていたので、これだ、コレコレ、と飛びついた。
 期待は大きかったが感想としては……惜しい。丁寧語攻で、要領がいいのに適度にちゃらんぽらんな飛鳥首相のキャラは悪くないのだが、雅彦が大人しい分、脇を固める浩太と不二子にもっと引っ張って欲しかった。
 仕掛けは少ないが見せ場はあるので、これは漫画化した方が面白いかも知れない。第二弾でもいい。後半になって「おっ? 良くなってきた?」というところで終わってしまったのでまったく惜しかった。

★★☆


雪とキス(松尾フク子)/東京漫画社・MARBLE COMICS


近所のアパートに住んでいた崇が引っ越してしまった。崇は大学生だけどアホなので、ちゃんと転居先を言っていかなかったから連絡が取れなくなってしまった。小学生のケンジは、何とか崇に会いたいと思うのだが…。(J)


じゃあな

 ぜんぶ同人誌からの再録。同人誌で読んで面白いものも、商業誌単行本で一気に読まされるとあんまり面白く感じないのはなぜなんだろう。ナイフとフォークで駄菓子食べても美味しくないって事だろうか。
 というわけで、一つ一つの話は悪くない。出てくる男の子たちもみんな純朴で可愛いのだが、何となく、商業誌作品のレベルじゃないなという感じ。今後に期待。
 味わいは雁須磨子系。アシスタントなのかお友達なのか、かなり似ている。一番絵柄がハデな表題作が現在の状態ならまだいいのだが、一番雁須磨子っぽい猫の話あたりが現在の画風なので、オリジナリティに関しても今後に期待したいところ。
 新人賞の選考員みたいな事ばっかり偉そうに言って申し訳ないが。でも東京漫画社はいい人を拾って来るよね。きちんと育ててのばして欲しい。

★★☆


そばにおいてね(桜城やや)/ビブロス・BBC


高校生の譲は、幼なじみの「いっちゃん」こと一誠のことが大好き。いっちゃんは譲の王子様だけど、いっちゃんより10センチも背が大きくなってしまった自分はお姫様にはほど遠い。そう思って諦めていた恋だけど、空手部の大角先輩が譲にまとわりつきだしたら、いっちゃんはなんだか不愉快そうで…?(J)


じゃあな

 桜城ややのベタ髪攻はいいな…最高だ…。桜城やや作品の感想の時はいつも言っているのだが特に「仕方ないな」って感じの苦笑がたまらん。少女漫画界三大苦笑作家は、樹なつみ・ひかわきょうこ・桜城ややでキマリだな。
 いっちゃんがカッコ良すぎて、元々素朴な譲(ユズ)はかすみがちだが、大柄な外見とのほほんとした性格と夢見がちな一途さがミスマッチで微笑ましい。美少女と見まごうばかりのショタ美少年が「いっちゃんは俺の王子様や」などと言い出すと、私としてはかなり気持ち悪いのだが、男っぽい譲が言うと可愛くていいね。あれ? 通常と反応が逆?
 飛び石連載なので、ストーリーの膨らみは少なく他愛ないのだが、キャラクターの魅力だけで結構楽しく読める。ああいつか桜城ややが、全てが私好みのナイスカップルを描いてくれないものだろうか。この人にね、描いてもらいたいのね! こういうの! こういうの! と届かないオーダー伝票をバンバン切りたくなるような作家は久しぶり。この勢いでどんどん行って欲しい。。

★★★


正義上等!(逢坂みや)/マガジン・マガジン ジュネコミックスピアスシリーズ


「ヤクザより乱暴な弁護士」として協会から除名寸前の石原弁護士は、粗野で粗暴だが元ヤンだけに熱さも人一倍だ。慰謝料請求の訴状を受けた青年の依頼を引き受けるが、依頼人はサイアクのドラ息子。さらに相手側は亡き親友の弟。かわいい弟分を救ってやりたい気持ちもあり、また依頼人のワガママさに苛立つ石原だが…。(J)


じゃあな

 どうしたイタキング! 過労で倒れてから生まれ変わったか?! 桜川園子も病気をした後、急に良くなったが、やはり漫画家にもリセットするタイミングというのが必要なのかも知れない。読み終わった感想としては、いつも「食べられないものなのに無理矢理口に入れていた逢坂みや作品」が「食用になった!!」という感じ。
 毎度毎度視覚的に痛く、精神的にもバイオレンスな作者だが、表題作などは(一部過激な表現はあれど)読後感は清々しい娯楽作。書き下ろしの「友情上等!」もいい感じ。このシリーズで一冊まとまっていたら、かなりのクオリティ。いいじゃん! 食べられる! この草、食べられるよ!! と、新しい発見をした気分になる。
 唯一「Reverse」だけが、かつて我々に「イタ獣王」と呼ばせしめた逢坂みやの破壊力をフルパワーで発揮しており、何というか激しい男性向けエロを読んだときのげんなり感をそのまま味わえる。イタキングモードがお好きな方はこちらでエグ味をお楽しみ下さい。

★★★


闇に遠吠え、胸に棘(直野儚羅)/ビブロス・BBC


胸にアザを持つ高校生・大神は、近づく人間全てがなぜか皆不幸になると自覚してからというもの、人と関わり合わずに生きてきた。ところがそんな彼を「御主」と慕う男・狛(こま)が現れる。彼は妖怪で、大神の前世に忠誠を誓った。胸のアザはその印だというのだが…。(J)


じゃあな

 こんな「自分、不器用ですから」みたいなルックスの人を受に登用する直野儚羅の侠気たるや天晴れである。ボーイズラブのフィールドで、やりたい限りのことをやってみたらしく、ラブラブよりも妖怪同士の戦闘重視という異色な画面が続く。
 「卵の日」では、作りすぎた設定が噴出して、漫研の部誌漫画みたいな事になっていたが、今作では導入部はそれなりにフツーのボーイズラブなので入り込みやすく受け入れやすい。ただ、コミックス中盤くらいでやっぱり設定が噴出してくるので、お茶の間妖怪ラブを想定していたのに、うわあずいぶん遠くまで来ちゃったな…と、ふと心細い気持ちにさせられることに変わりはないが。
 狛の兄・赤酸漿が一人勝ちなくらいいいキャラ。彼と契約する気合いの入った人間はいるのだろうか…。ムシュフシュとマルドゥークも良かったが、ここはやっぱりムシュフシュが受なのか? ムシュフシュの敬語攻もいいなあと思うのだが、キャラの受攻が読めない直野作品唯一のセオリーとして「物凄い美形は攻」「より不幸な方が受」というのがあるので(これも絶対ではないが…)、きっとマルドゥークが攻なんだろうな…。で、でもラカムはいくらなんでもラカムが攻だよな。まさかオッサン受十人兄弟ってことはないよな…
赤酸漿最強伝説として、続編もぜひ描いて欲しい。    どこかで。

★★★


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