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井村仁美銀行員シリーズ 薔薇シリーズ 学園天国
ラスト・ワルツ    
     

 


銀行シリーズ(井村仁美)/ 花丸ノベルズ1〜3巻
 
 新人銀行マンの藤芝は、マンツーマン指導を担当してくれている先輩の椿本に、突然強姦されて…。しかし椿本の真摯な思いに打たれてやがて二人は恋人同士に。一方、藤芝の大学時代の先輩・林も藤芝の事をかねてより想っていて…。銀行を舞台に繰り広げられるサラリーマンラブストーリー。 (J)

 全作品読破したわけではないが、私の知る限りでの井村仁美の最高傑作。水戸泉の薔薇シリーズとあわせて、私の「笑かしてくれたホモ小説」二大巨頭である。最初は何て事ないリーマンホモで、藤芝の(ビジネス上の)デキの悪さが、クールビューティー受好きの私にはいまひとつピンと来なかったのだが、二巻の林先輩の活躍ぶりには抱腹絶倒した。
 一巻で、いい人、いい先輩ぶっていた時点からすでに読者全員に「こいつ絶対藤芝狙ってる。こいつホモ」と思われていたであろう林先輩。二巻では本領発揮して、期待に応えてくれた。待ってたぜ林先輩。アンタの時代だ。
 藤芝をスキーに誘って一服もって(あれ?酔いつぶしたんだったかな?)縛って脱がせてさあイタダキマスという時になって、飛び込んできた椿本に殴り倒されて昏倒。しかし再度藤芝の前に現れた林先輩は「この前はすまなかった。だが後悔はしていない。あれはあれで良かったからね」と、ニヤリ。あれで良かったんですか林先輩?!変わったプレイがお好みなんですね林先輩!!もうこの台詞で林先輩は私の心をがっちりキャッチ。ホモ小説界で一番好きなキャラクターかも知れない。こんなに笑わせてくれるキャラ他にはいない。
 三巻ではなんと林先輩の勤める会社と、椿本・藤芝の銀行が合併。こんなにキュートな林先輩がいつでも同じフロアに!!ブラボー!!勿論しつこくねちこく藤芝に迫る林先輩。昼日中でも外回りの最中にラブホテル街にしけこみたがるわ、父親にお見合いを強要されて「お前とやれないうちは結婚なんて出来ない」と見当違いに口説いてくるわ。素敵すぎます、林先輩。あなたのそのがむしゃらさがとってもイン。
 林先輩の輝きの前では少々霞んで見えるが、攻の椿本もいい味を出している。この人は林先輩の遠縁の親戚で、幼少時から二人はライバル同士だったらしいのだが「藤芝とやれないうちは結婚出来ない」という林先輩に「やれないと出来ないなら結婚なんてするな」と一喝。三巻で、藤芝を押し倒そうとする新入社員にも「マンツーマン指導の先輩を押し倒すなんて、何を考えているんだ」とまた一喝。この男はかつてマンツーマン指導の後輩をゴーカンした経験の持ち主です。どの口が言うのだ、どの口が。椿本の一喝はいつもキマっている。ぜひ人生相談の回答者になって欲しい。凄い事続々と言ってくれそうだ。朝の番組とかで格言を言ってくれるのもいいなあ。毎日の活力。「椿本に聞け!」のコーナー。
 四巻ではおそらく、今まで影ばかりがちらちらとほの見えていた藤芝弟が、新たなる当て馬として登場してくれるだろう。この弟、絶対アニキに惚れてる。そうでなければあんなに「兄は女顔だけど弟は長身で身体が大きくて」なんて描写が出てくるわけがない。さあ来い弟。ライバルは手強いぞ。林先輩と椿本を超えるくらいの香ばしいキャラぶりを見せてくれ…というわけで、期待をこめて星四つ。
★★★★


薔薇シリーズ(水戸泉)/ ラピス文庫1〜3巻
 
 妖魔と戦う血筋に生まれた封殺師の彬は、オッド・アイと薔薇の形の痣を持つ美少年。行方不明の弟の菜津央を探す為にやってきた日本で、芸能プロダクション社長の瀬名から依頼を受ける。人外の力を持つと瀬名との出会いは、やがて彬を運命の渦へと巻き込んでいく…。(J)

 粗筋書けねえってこんな話!ホモノベルズ界の核弾頭・水戸泉の最高傑作シリーズ。 ともかく一巻読んだ時は笑い死ぬかと思った。凄すぎて。
 
主人公は彬という封殺師(という、妖怪退治みたいな血筋の人がいるらしい)で、勿論美少年。しかもオッド・アイ。アイドル事務所からの依頼を受けて、自らもアイドルグループの一員となって東京ドームでコンサートまでしてしまう。この封殺師というオシゴト、法王庁管轄下にも関わらず「より強い力を得る為にはより強い妖魔とヤる」そして敵方から見ても「相手の力を奪う為にはヤる」という素晴らしく直球なルールがある。いいんですか猊下これ。立川流ですか。
 で、彬君がその東京ドームのコンサートに出演している最中、突如観客(女性のみ)が凶暴化!何故だ?!あっ、メンバーの一人に妖魔がいて、そいつが毒電波を流していたんだな!えいっ、やっつけてやる!!しまった、最愛の弟が人質にとられたぞ!しかも東京ドームの地下には旧日本軍の1000トンの爆弾が残っているというから迂闊な事は出来ないぜ!!…奥さん、聞きました?!東京ドームの地下に1000トンの爆弾ですよ!よくそんなところに東京ドームがありますね!勿論旧日本軍の爆弾なんだから、後楽園球場時代もちゃんとあったんですよね!ドンチャックもこれにはびっくりです。さて、妖魔とヤるのは当然の事と致しまして、ここで事務所の社長の瀬名氏(名前は嫌なので言いたくない)が妖魔に素敵なアイデアを。それは、瀬名社長自身もかなり強い力を持った人外の生き物さんでいらっしゃるらしいんですね。で、その社長と彬君がなさってから、彬君と妖魔がいたすと、更に強大な力がアナタのものに!!という、今なら押入収納便利箱12個セットなみのご提案をなさるんですネ。 ここで勿論3Pになだれこむわけですが、どこにも「観客は避難した」という描写はない。なんてオープンなんだ封殺師。
 さて瀬名社長。彬君の恋人役の瀬名社長。長身。クール。ミステリアスな美形。しかも正体不明。どうも人間ではないらしい。かと言って妖魔とも限らないらしい。クールなマスクの下で定石通り彬君の事を想ってやまないらしい瀬名社長。そんなファンタジックでハードボイルドな彼は、二巻になったらナイス過去続出。彬君に山梨だか山形だかの学校に潜入して、そこの理事長の弟が妖魔から狙われているらしいからその警備をしろと依頼します。理事長はどうやら瀬名社長の友人らしいので「あんたに友達がいたのか」と驚く彬に社長は「大学の同級生だ」と答えます。大学!クールでミステリアスで人間じゃないのに大学行ってたんですか社長!体育とかあるんですけど社長!くじ引きで負けたらダンスの授業とか取らないといけないんですけど社長!!体育祭ではやっぱりジャージなんですか社長!!お昼は学食なんですか、ねえ!ねえ社長!!
 更に、彬君はその学校に転校して、理事長に会います。理事長は、美形なのは勿論の事ですが(って言うかこの小説、美形じゃない人で死んでない人がいない様な…)なんと目も覚める様な美しい紺碧の髪をしています。理事長談。「高熱を出したらこうなったんだ」…なるかーい!!脳味噌沸騰したってなるかい!!もう、読んでる私の髪がショックで青くなりそうだ。東京ドームの爆弾同様、作者の筆には些かのためらいもありません。爆弾があるって言ったらあるし、青いったら青いんです。なんと漢らしい筆力の持ち主でしょう。まさに武士道、大和魂です。
 その理事長の弟の身辺警護につく彬君。すると不良にからまれる二人。しかし彬君の封殺術で不良は追っぱらわれてしまいます。おお、彬君が役に立ったのは一巻の冒頭以来だ…感心したのも束の間リターンマッチで催涙ガスをくらった彬君は不良に手錠をかまされてしまいます。大変です。なんという事でしょう。「両手が使えなければ封殺術が使えない!」 やめてしまえそんな役に立たない術!
 潜入した彬君を心配してか、瀬名社長まで学校に化学の先生として乗り込んできます。事務所はいいんですか社長。「偽教師のくせに」と言う彬君に、瀬名社長は毅然と「教員免許は持っている。大学の時、余暇でとった」と言い放ちます。教員免許!クールでハードでミステリアスなのに、大学に行ったばかりか、教職までとってたんですか社長!教育実習行ったんですか社長!ねえねえ、生徒が最後に色紙の寄せ書きくれましたか?!ねえ、ねえ社長ッッ!!
 ちなみに瀬名社長の留守中、事務所は秘書(金髪美形、でも日本人、男)の紗倉さんという人が一切をとりしきってくれていたわけなんですが、この倉さん凄いです。ただの人間の、社長秘書なだけなのに、瀬名社長が彬君を監禁する為に張った結界をいとも容易く解いてしまいます。理由。「寺の息子だから」…凄いぞ寺の息子!ブラボー寺の息子!最強だぜ寺の息子!大乗仏教ばんざーい!!
 何もかもが凄すぎます薔薇シリーズ。特に二巻がサイコーでした。三巻からのパワーダウン(あれでか)は嘆かわしい限りです。フィラード!お前気持ち悪い日本語ばっかり使ってないでもっと面白い事しろ!!私は、薔薇シリーズのフィラードの台詞を音読させるというのは、一種の拷問に使えていいと思います。新手の恥辱プレイかも知れませんね。どこかのホモ小説で恐喝に使ってみるってのはどうかな。
「グダグダ抜かすと薔薇シリーズ音読させるぞ」…これにはどんなに意地っ張りの受も降参する事でしょう。ぜひお試し下さい。

★★☆

(1〜2巻のみ満点)




学園天国(幹本真夕)/松文館・エースファイブコミックス


 秀才の委員長・竹中は学年トップの座を転校生の杉本に奪われて悔しくて仕方ない。いつも飄々として、勉強している様にはとても見えない杉本の秘密を探る委員長だが…?(J)

 日本で幹本真夕をここまで評価しているのは私だけかも知れない。異様に好き。どこが好きと言われても答えられないし、誰も同意してくれる者はいないが、幹本真夕読みたさのあまり、crossのソフトSM特集まで購入しちゃうくらいである。このソフトSM特集、ソフトという文字は大変小さく、表紙の図柄に目を奪われて誰もそれに気付く者はいないだろうと思われる。ソフト、ソフトなのよ私が買ったのは。決してSM特集じゃないのよ。わかって。
 で、幹本真夕。めったやたらにガタイのいいキャラクターで、ペンタッチだけは綺麗な一昔前の絵柄。本コミックスはアンソロジー掲載作品を収録したので、ともかく始まってキャラ紹介でやっておしまい、というだけ。何故だ、何故これでこんなに愛しているのだ俺よ。自分で自分が納得いかない。星だってホントは五つつけたいの。でも内なる何かが「それはまずい」と囁くの。
  何とか理屈をつけて考察するに、私の法律通りに物事が進むからだろうか。どんなカップリングでも私が「受!」と思った方が受だし「攻!」と決めた方が攻だ。不良×先生、転校生×優等生、高校生×守護神だ。勿論殆どがベタ攻×白髪受だ(村雨先輩のみ全てにおいて私の予想を裏切ってくれたが…)幹本真夕は私の法治国家の中を生きるホモ漫画家である。いつまでも法の名の下に生きて欲しい。そして出来ればcross以外のところでも描いて欲しい。このままではオヤジ特集や鬼畜特集を買うはめになる
★★★★



ラスト・ワルツ(新田祐克)/芳文社・花音コミックス全二巻


 新宿一のホストクラブ『シュナップス』のナンバーワンである鷹秋を慕う新川は、彼を超える為にあえてライバル店である岩城の店へのヘッドハンティングに応じる。一方岩城の店では、鷹秋に執着する岩城に不満を持ったホストの剣崎と石井が『シュナップス』を荒らしにかかる…。(J)

 おい待ってくれ、世界一面白いぞこの漫画。もう私は新田祐克の世界に魅せられまくり。設定で笑かし、台詞で笑かし、キャラで笑かし、服装で笑かし、最後に小道具で笑かしてくれる。そしてカップリングで期待を裏切らないのだから、もう新田祐克はホモ漫画家の鑑だ。何度読み返しても「ええっ、このネクタイ?!」「うわっ、このポケットチーフ!!」と読む度に新鮮な感動が味わえる。もう読めば読む程面白い。三分に一度衝撃が走る。誰か私を止めてくれ。いや新田祐克をとめてくれ。いいえやっぱり止めないで。
 まー出てくる人出てくる人すっげーキング揃い。行動すっげーキングの剣崎や髪型すっげーキングの石井などはまだまだコドモ。店ナンバーワンクラスになるとさすがに、シャツ前全開すっげーキングの新川、マフラー&モテモテすっげーキングの鷹秋。そしてキングオブキングはやっぱり、スリッパすっげーキングの岩城さんか?!新田祐克頼むぜ、もう、持ってるトーン全部見せてくれ。一体どれだけの逸品を所蔵してるんだ。知りたくて死にそうだ。
 ストーリー的には「ホスト版・お水の花道」。この素っ頓狂な世界設定からして、新田祐克がっちり私を掴んでいる。カジノもAVも料亭も、如何にパイオニア新田祐克が切り拓いても誰も後に続く者のない獣道の向こうのワンダーランドだが、本作に至ってはホストクラブ。ホモには最も向かない職業ではないのかという大前提を、まるで無視して物語はスタートする。なんて目のつけどころがシャープなんだ。多分このジャンルも日本が終わる時まで新田祐克の独壇場だろう。
 孤高のワンダーランドを舞台に、出てくるほぼ全ての人が鷹秋を狙ってすったもんだ。いーい展開です。鷹秋モッテモテ。しかも人望ありまくりで、何やってもパーフェクト。モテ受、甲斐性アリ受大好きのじゃあな大喜び。しかもただ喜ばしてくれるだけではないスパイシーなすっとこどっこいさがたまらない味わい。人生を真剣に生きる登場人物達の、想像を絶するイデオロギーが眩しい。「俺は鷹秋さんと並び立つ為に同じ店を出る!」と言ってヘッドハンティングに応じた新川に対して、引き抜いた側の岩城の一言「何をもって鷹秋に勝ったとするんだ。そんな事も決めていなかったのか」新川「がーん」…これ、ギャグじゃないのよ!みんなマジなの!一生懸命生きてるのッ!!更に「俺をホモ扱いするなよ(ホモだよ…)俺は男だから鷹秋がいいんじゃない、鷹秋だから男でもいいんだ」という岩城に、剣崎の一撃。「鷹秋さんしか抱いた事ないのになんでそう言えるんですか、他の男でもイイかも知れないでしょ、はい俺をどーぞ」岩城「ぎゃふん」…マジなの!マジなのよ!!ハードに生きる男達の死闘なんだってば!!でもどうしてこんなに笑えるの〜、もう笑いすぎて死にそう。誰かこの漫画に直木賞をあげて!芥川賞も江戸川乱歩賞も、レコード大賞だってあげてくれーい!!
 いやー、しかも「ラスト・ワルツ」としては二巻で完結だけど、シリーズとしてはまだまだ続くそうで、おいおい、まだまだ私の人生捨てたもんじゃないよ。これからこれから!ビバ、ミレニアム!!個人的には、岩城さんは剣崎にあげるから、鷹秋は石井でどうかな。鷹秋に誉めて貰おうと灰皿を磨く姿が愛らしい。どうも私は新田祐克の甘えん坊攻に弱いな。石井も、新川に負けじと普段凄い格好をしているが、コミックス二巻の裏表紙に限りまともな服装をしているので「どうしたの石井、具合でも悪いの?!」と心配になってしまったよ。あ、新川は変な顔なので、一人で生きていってくれ。
 ちなみにこの岩城さんは、春抱の岩城さんとは同姓同名の別人だそうです。鷹秋の本名も香藤らしいが、これも別人。と、いうかこの二人は確実に顔が違う。鷹秋は香藤よりも受らしい顔をしているが、岩城さんはあんまり変わらないので気を抜くと新川あたりに押し倒されそうだ。ああ、それも新しい展開だなあ。新田ワールドならあり得ない話じゃないところが怖いな。
  いずれにせよ、これだけ人望があるんだから鷹秋をオーナーにして岩城がホストに返り咲き、新川・石井・剣崎が稼ぎまくれば君達が歌舞伎町を手に入れる日もそう遠くないと思うのだがどうだろう。
★★★★★





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