仮面ティーチャー(京山あつき)/徳間書店・キャラコミックス


小学校教諭の諸岡は「いけない先生」。少年を偏愛する性癖を隠し、常識人の仮面をつけて日々を生きる。そんな彼の葛藤と胸ときめかせる少年達との一方的な心のふれあいを描く。(J)


じゃあな

 面白かったのだが何故か購入した人すべが「TONOちゃんの帯につられた」と言うのが興味深い。素晴らしい作戦だったな徳間書店。TONOちゃんは、例えばパソコンが描けるか? 飛行機が描けるか? 便器が描けるか? という点では全て「否」なのだが、他に類を見ない独自の魅力を持つ漫画家だ。非常に独特なその作風に、本人自ら「似てる」と言われては興味もわくというもの。似ているか似ていないかで言えば、TONOちゃんの最も大きな特質としては「何を描いても憎めない」という点があるのだが、そこのところは似ていた様に思う。
 何だかTONOちゃんの感想だか何だかわかんなくなってきたが、本作は面白かった。私にショタ特性がない為、光介さんや扁理くんが出てくると、純粋に漫画を楽しむ以外のエンジンがぶるんぶるん始動し始めるのが問題だったが。読み終えた後も「…意外とマコちゃんみたいなのが運命の相手だったりするんだよ」と呟いているあたり、どうしてもショタのエンジンはかからないらしい。故障中。いやそもそも積んでいないのか…。そんな人でも楽しめます。オススメ。男子が読んでも面白いよ(多分)。

★★★☆
俺様
私も当然TONOちゃんの帯につられて買ってしまったのだが、素直に面白かった。諸岡の葛藤がアホみたいなのだが実際男でショタに悩む人で理性を持っている人はこんなもんなんだろうか?つーか、女でロリの心を持つ俺としては諸岡のような葛藤はなく、ストレートに可愛い女の子は可愛がるけどなっ!(悪魔め…)正直可愛い子は可愛くて、可愛くない子は可愛くないのだよ。俺は教師にはなれないな…。
諸岡はそんな葛藤と折り合いをつけながら新たな子羊があらわれるたび目をつけるのだが、実害があるわけではなく、ただ妄想の中だけで幸せそうに生きている。見た目は子供でも実際には大人な日浦との実践に挑むも、本人の趣味嗜好のため誰もが引くような事になっている。あんな状況で日浦はそれが例えその場限りの付き合いだとしても諸岡とやろうと思ったのかわからないよ…。
ところでマコちゃんはメガネをとったら美形(ショタっぽい)だったというオチがあるのかと思っていたのは私だけではないよな。
★★★


コーヒーブレイク(水原ちひろ)/松文館・ダイアモンドコミックス


常に営業トップの簡野の秘密は、顧客に体を差し出すこと? ウラの事情を探るべくけしかけられた宅嶋は彼に接近するのだが…。(J)


じゃあな

 短編の完成度というのは、どれだけスタート地点に掲げられたテーマに戻って来られるかという点であろう。その意味ではこの作品集は、東京駅から山手線を出発して、戻ってくる途中に突如電車が上野から常磐線に変身して二度と戻ってこられなくなった…ぐらいの勘違い作品ばかりで読んでいてあまり爽快感がなかった。
 でも画面は松文館らしいいい物件だ。西の島あさひ、東の天羽宥貴ほどの勢いはないが、あちこち微妙に変で歪んでいてまことに楽しい。特に社長×秘書物で社長がバカラの(?!)グラスを投げ捨てるシーンでは、グラスをぶん投げるあまりの勢いに「何コレ? 殺人ビーム?」と思った。読んでもいいけど三話めくらいでいい加減飽きてくる。でも最後のあとがきでちょっと目も覚めるかも知れないな。

俺様
いやいや、本当に社長ビーム凄かったよ。何で床に穴あかないんだろう?その前の花屋の店長のマッハパンチにもびっくりしたけどな。
何というか、どれもお腹いっぱいなお話なうえにどうしてそういう事になるんですか?という状況続出。私は口絵のスーツを掴んだだけでなぜシャツがああもはだけるのかが理解できずしばし口絵を見て悩んでいたぐらいだ。さすが松文館物件というところだろうか…。
キャラクターの口元がゆるいのが気になってしまう。どうして真剣なシーンでもみんなだらしなく笑ってるんだよ。話はどれもはいはいギブギブ〜とあっさり投げ出していた。
私もあとがきで目が覚めたというよりも、目が飛び出るかと思いました…。


欲しがりな君と不束な僕(直野儚羅)/竹書房・BAMBOO COMICS


バーの雇われマスター・隗は、両親亡き後弟妹の面倒を見て来た良き兄貴だが、一人また一人と手を離れ、ついに末弟の洸が大学の学生寮に入る事になって、いささか気が抜けているところ。一人になった隗の前に現れたのは、金髪碧眼の美青年・ランス。何かと親切にしてくれるランスに、隗の心は惹かれていくのだが…。(J)


じゃあな

 直野儚羅の作品集を読んでいると、自分の中での受攻の条件、嗜好が見えてくるな。表題作は隗がオッサン。ランスは実は凄く若くて高校生。オッサンと高校生なら高校生攻。でもランスは金髪美形。隗はベタで体つきもゴツい。白髪(金髪)とベタなら白髪が受。マッチョとスリムなら華奢な方が受。そうなると、オッサン>学生(嗜好ポイントが大きい方が受を表す。じゃあなさん基本的に受を好きになる人だから)、しかしながら金髪+高校生=黒髪+オッサンとここで萌えポイントは等式となり、更に金髪+細身+高校生>黒髪+大柄+オッサンで、ランス受が優位に! ワア! なんて難しい計算なんだ! でもこんなに理路整然と式が成り立ったのに、実際はランスが攻なんだ。もう、頭ばっかり使っちまったヨ!
 「告白」は、受が直野作品によく出てくるタイプだったので、これはもうさっさと諦めた。私の計算ではオッサン>高校生、ベタ髪+オッサン>ツンツン頭+高校生(ベタ攻嗜好のじゃあなさんだが、白髪でも髪が立っていると攻ポイントが加算されてしまうらしいぞ! ここは試験に出る!)で、圧倒的に少年が攻になる筈だったのだが…世の中では数字だけで割り切れないものもあるんだネ…。
 そして時代物「暗闇に惑う」。ロン毛来たー! ロン毛でめちゃ強い剣士来たー! しかも相手に敬語で短髪来たー! もう黒板がチョークでカツカツ言うぐらい、ロン毛+不敵+強い+偉い>短髪+無口+ツリ目+敬語、と、数式はカンペキ!! でも、ままならないのが直野作品の常。そうよ、こんなにカッコイイ多津見様が攻でもアタシ諦める。それが世の中の不条理ってものだもの…と健気に決心していたら、多津見様受来たー!! もうこれだけで! これだけでこの本、星五つ?! プレゼントは不意打ちの方が嬉しいって本当!! と、一人で小躍りしていたのだが、続く収録作品「死に損ないの夜」を読んで…アラ? じゃあなさん、このお話読んだことあった…。なんであんなにハラハラドキドキしながら多津見攻を想像して下唇噛みしめてたのかしら…お前カップリング知ってたんじゃねーかよ…ちょっと自分で自分に疲れたわ…。
 で、結局書き下ろしで「多津見様あなたなんて事を!!」と口から火山灰噴いたので、星の数はマアそれなりに。裏表紙を見て「今度は女の子の活躍する話なのかな! 女の子も可愛いな!」と鼻息荒くなったので、いずれそういう話も希望。いや、麗人だとムリな相談なのか。

★★★☆
俺様
はい、みんな先生に注目〜。ランスを吸血鬼だと思った人は、はーい先生と一緒に手をあげて〜。みんな自分の心を偽らず素直に自分の心に従ってみようね〜。先生は正直な子が大好きですよ〜。(教室をみまわして)先生はクラスみんなが一致団結してくれて嬉しいです。と、いうぐらいランスが普通の高校生だという事に驚きました。最後の最後まで疑っていたのに…。みんな普通(?)の人間だなんて…。
多津見様は何があってあんなにスレてしまったというか、神楽〜騙されてるぞ〜!目を覚ませ〜!!と、言いつつも私は神楽受の方が好みなのかも…。だって受神楽可愛かったし…。それにしても作者はおっさんを若く描きすぎる。隗が同い年だという事に少なからずショックを受けている私だった…。
★★★☆


天使のエージェント(島あさひ)/芳文社・花音コミックス


コーヒーショップで働く夏は、謎の常連客・高杉に盗聴器を渡すように命じられる。母親が入院中で、金策にあえいでいた夏はやむなくそれを実行するのだが、高杉と親しくなるにつけ自分のした事に後悔の念を覚えて…。(J)


じゃあな

 島あさひにしては何となくパンチのない作品集だ。お楽しみの画力は相変わらず凄まじく、高杉社長は並み居る島あさひのキャラクターの中でも、人類のバッケンレコードを超える造作をしていたが、それだけだった。ストーリーも十分トンデモで、高杉社長は「明日の会議が終わったら仕事が一段落する」と言いながらその会議の途中でいなくなってしまってそれっきりなのだが、その後業務に支障はないのだろうか、とか、「おタッチ(は〜と)メニュー」ってどないやねん、とか、色々と思うところはあるのだが、もはや、巧くなる事もこれ以上ひどくなる事もない画力や、同様のストーリーテラーとしての能力が、ツッコむ隙さえ与えない。島あさひはもう、全部まるごとこれで島あさひであり、それ以上の島あさひでもそれ以下の島あさひでもない、という確固たる独自性に、たいていのツッコミなど跳ね返されてしまいそうだ。島あさひは島あさひというジャンルを確立したのか。ついに無敵か、島あさひ。
 書き下ろしでは比較的改善されていたが、美青年水泳トレーナーの競泳用水着が、なんだかアトムのブルマーの様で、ある意味かわいかった。

俺様
掲示板であさひがレディになったと聞いて足長おじさんのごとく見守って来た身としては再会を楽しみにしていたのだが、ハッハッハ…この本のあさひはまだまだおチビちゃんだったね〜。
何だかあさひにしてはパンチがないような気がしたのだが…。いやいや、申し訳ない相変わらずのパンチ力だった。みくびってすまんな。まさか泳ぐ時の表現で今時「ざぶざぶ」「ざばざば」などと言う表現を使うとは…。いつも思うのだがネームの段階では表現力までは編集にはわからないという事だ。もしや確信犯なのかあさひ?!描いちまえばこっちのもんって思ってないかな?
次の再会ではレディなあさひに期待をしつつ、いつまでも俺のおチビちゃんでいてくれよと思わずにはいられない。


ザ・青春(猫田リコ)/竹書房・BAMBOO COMICS


書店でアルバイトをしている岬谷は、店長と「都合のいいガールフレンド」だった当子がつきあう事になったと聞いて唖然とする。子供っぽくて冴えない店長のどこがいいのかと探るにつけ、人のものを横取りしたい様な独占欲が生まれ、岬谷は彼を組み敷くのだが…。(J)


じゃあな

 作者らしい肩の力の抜けた作品集。表題作は普通に面白いが、続く短編はどれもマカフシギマカフシキオォイエ〜と少年隊が歌い出したくなるほど。なんか考えて書いたんだかいないんだか、一体この話のどの部分が一番書きたかったんだろうとか、わからない事だらけ。作者に「ねえあの話についてだけど」と尋ねたら「へ? そんなの書いたっけ」と言われそうな気がする作品ばかりだが、これが味なんだから仕方がない。なんとなくこのわからなさ、最初は高橋葉介みたいだなと思っていたが、最近は手塚治虫みたいだなとまで思えてきた。手塚治虫の漫画って、小さい頃から読んでるから「昔の漫画だからそんなもんか」と納得してたけど、いきなり悪党がラインダンス踊り始めたりとか、殴られた人がぺしゃんこになったりするじゃない。あの感覚に似ているような気さえする…特に「blues」。謎の妹ちゃんが(物語的に)神様になってしまうあたり、なんかそれっぽい。単に彼女のコスチュームのせいかしら。
 トツゲキフシギコメディも楽しく読めるが(あんまり続くとこれはこれで飽きるのだが)、猫田リコの真骨頂は切ない系なんだがなーと思っていたら、最後の書き下ろしが本領発揮で大満足。いえ、実録漫画の方ではなく。あれも切ない物語ですが。

★★★★
俺様
後書きマンガが一番おもしろいってどうだろう…。しかし猫田リコの家族は門地かおりの家族と似ているような気がする。上手いというわけではないのだが、読み進むうちにハマってしまう作風なのは相変わらず。そして現代なのに大正ローマンスな香りが漂うのも相変わらずであった。
不思議なものでちゃんと読んだのにも係わらずなぜかお話として記憶に残らなかった。あとがきが記憶に残り過ぎたせいかもしれないが、不思議ちゃんパワーがみなぎっていたような気がする。そして人は不思議ちゃんを避けて行きたいものなのだよ。
好きな作家にはあまり摩訶不思議な世界に行って欲しくない保守的な俺様なのだった…。
★★☆


B級グルメ倶楽部(今市子)/ムービック・ダリアコミックス


新入社員の吉野は、高校時代、その名の通り鬼と恐れられた先輩の鬼塚と再会する。高校時代、うっかりカミングアウトして周囲から孤立してしまった吉野に屈託なく接してくれたのは鬼塚だけだった。変人だけど初恋だった鬼塚は、今でもやっぱり変人で…でもやっぱり気になって…?(J)


じゃあな

 「いとこ同士」に続くムービック刊・今市子再録特集。表題作とその続編を描いた書き下ろしは文句なく面白い。日頃「ボーイズラブと言うよりは、ただのホモが出てくる面白い漫画」を書く今市子だが、受のヨッシーが珍しくヴィジュアル的に可愛いので(今市子キャラはみんな何となく端正なので美醜がわかりにくい)、なんだかボーイズラブ気分が高まる。 でも内容は結局「ホモの出てくる面白い漫画」。だってボーイズラブ史上あり得ないシチュエーションのエッチ(?)シーンが…!!
 そ、それは…その状況は! それでもデキた彼等の鉄壁の愛と精神力に乾杯。
 で、表題作以外は何となく、メジャーデビューしそこねた、今市子の癇の強い妹でも見るような感じ。ああ、姉妹だけにお姉ちゃんの持つ不思議なエッセンスは備わってるんだけど、それをうまく外に出力しきれていないんだね、繊細過ぎてうまく世の中渡れないんだね、みたいな。どこで吹っ切ったのか興味深いところだが、不条理をファンタジー(もしくはホラー)として成功させるコツは、どこかに一本整合性がある事なんだろうな、と思った。何となく全体がふわふわしていると「-6m」みたいな話が出来上がるらしい。
 古い作品でも、絵柄はもともと流行にあまり関係のない作風なので、そんなに気にならないかな…と思ったけれど、台詞の「かーば」には時代を感じた。いっそ「ばーか」に直した方が良かったのでは…。そして178ページと179ページのつながりがよくわからなかった。

★★☆
俺様
タイトル見た瞬間、今市子のお勧めB級グルメを紹介したマンガを集めた文鳥様シリーズの食い物版かと勝手に思っていた。つーか、どこがB級なの?カレーパンだから?それとも主人公達の行動がB級って事?私としては鬼塚が受でないとわかった段階でちょっと投げ出し気味になっていた。やはり人間こだわる所は人それぞれなのだな。
古い作品なだけに時代背景も色々と古さがにじみ出ているが、それでも説得力のある画力なうえに話を読ませる作家であるために読み進む事があっさり出来てしまう。それ以前にちゃんと仕事をしている二人に感動してしまうのだった。働かないホモが多過ぎるんだよっ!
★★★☆


B級グルメ倶楽部(今市子)/フロンティアワーク・ダリアコミックス 2巻


憧れの先輩だった鬼塚と、晴れて恋人同士になった吉野。つきあってみて初めて知ったが、鬼塚は意外と世話焼きで几帳面。束縛されて嬉しい様な、押しつけがましくて息苦しい様な微妙な感じ。それでもラブラブな事に変わりはないのだが、鬼塚の弟・芳紀が転がり込んできたせいで吉野はペースを乱されて…。(J)


じゃあな

 今市子作品の受は大抵美人という事になっているのだが、中でも吉野はトップクラスのかわいこちゃん。鬼塚とベッドであーだこーだやっている場面も多くて、ボーイズラブ度が高い…筈なのだが、やっぱり、漫画としてフツーに面白すぎて、萌えより面白さが先に立ってしまうな。いい事なんだか、どうだか。
 私は常々、ゲイとオタクはちょっと似ていると思っていた。やめたくてもやめられないところや、逆に、なろうとしてなれるものでないところもよく似ている。どちらも、世間では認められにくいが、持って生まれ持った性質なのだ。
 書き下ろし「他人の趣味」はかねて気になるその部分を巧く描いてくれていて、非常に面白かった。今市子本当に巧い。

★★★★★



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