猫の降る街(青海信濃)/オークラ出版・PIXY COMICS


爪に仕込んだ毒針でターゲットを殺すスナイパー・ルーナ。行方不明の薬学博士を抹殺する指令を受けたが、同じく博士を追っているらしい私立探偵の東吾に出逢い、心惹かれるように…。(J)

じゃあな

 しょぼん。青海信濃、「ディフェンスライン」で見直したから期待していたのに。ショート丈のランニングを重ね着しているルーナの服装だけで、いや「ルーナ」という名前だけでもかなりギブアップ。古くさいよのさ、と、もっと古くさい言葉で対抗してみるがむなしさに代わりはない。 同人誌掲載作品ですか。それにしては画面が綺麗ですが、それだけですネ…。ビルの五階から平気で飛び降りるのは、ルーナの出生に何か秘密とかあるからなのだろうか。ただ単に平気だからなんだろうか。なんだか後者のような気がして恐ろしいが。
 東吾の背中の傷はケロイドというより人面疽に近い。それもまた恐ろしい。

★☆


お花の王子様(甘野有記)/心交社・ショコラコミックス


心優しき苦学生の貴晶が、植木鉢に水をやったら花から生まれてしまった小さな平安貴族。「花ちゃん」と名乗る小人は、得体が知れないけれど可愛くて…。ところが流れ星にお祈りしたら愛らしかった花ちゃんの姿が?!(J)

じゃあな

 ボーイズラブかと言われると困るところだが、花ちゃんは一生小さい花ちゃんでヨシ。貴晶とのんびりほのぼの生きていくが良い。多分貴晶だって好きなのは小さい可愛い花ちゃんだろう。
 小さくて可愛いものが大きくなる…というパターンだと、大抵変身する方が受なのだが、花ちゃんは斬新にも攻だ。花ちゃんのくせに。受が小さくなる場合、攻は非人道的にも小さいのにイタズラしたりするものだが、貴晶はいい子なのでそのような事は致しません。小さい花ちゃんを可愛がって育てていて、基本的にこの人達ユリって言うかペットって言うか。
 しかしこれ、着想はまさかおじゃる丸なのだろうか。だとしたら人のイマジネーションってスゴイなあ。花ちゃんの髪型服装には何となく、大和和紀の「ラブパック」を思い出した。

★★
愛恵
凄いの一言に尽きる。何が凄いって、なんでお花ちゃんがいきなり植木鉢から生まれたか一切の説明がないことだ。大きくなるのも星に願ったからって…。ある意味あっぱれといえよう。私はとにかく設定にこだわるタチなんで、タイムテーブルでも何でもちょっとのアラが見付かるとイライラして先を読めない。が。ここまで何の理由もこじつけもない話には潔いと平伏するしかない。花ちゃんを攻めにする発想も斬新だ。これからは甘野有記を心の師と仰ぐことにします。
★★


前門の虎・後門の狼(水上シン)/ビブロス・BBC


山賊狩りの命を受けた都の役人・徐鉄は、部下の黄爺、幼なじみの春雷とともに山賊の仲間として潜入する事に成功する。頭の狼(ろう)は女と見まごうばかりの隻眼の美少年。山賊に身を落とした彼を助けたいと思う徐鉄だが、彼の正体が露呈する日が…。(J)

じゃあな
 面白くないわけではないのだが、シリアスな商業誌掲載作品と、その後を明るく描いた同人誌再録作品とで、作風もペンタッチもまるで違うので対処に困る。肩の力の抜けた近作の方が読みやすいことは読みやすいのだが、なんかシリアスバージョンの方を思い出すと「そ、そんな事してていいの? そんなノリでいいの?」と落ち着かない気分にさせられる。
 しかし花龍27歳にはド肝を抜かれるが(ていうか私より年下ですかアナタ…)「STORM」最後の軽やかな活躍を見るにつけ黄爺の82歳ってのもスゴイよな。受がみんな乱暴者で気が強く(仙花が唯一心優しいか?)、狼に至っては徐鉄を押し倒し続けている。キャラクターは好きなので、ノリを統一した上でもうちょっと続けて貰いたい気もする。
★☆


しっぽのきもち(南野ましろ)/桜桃書房・ガストコミック


子猫のヤタカとクロは傷付いた猫を見付ける。助けを求めて飼い主の下に走るが、人間に猫の言葉は通じない。だけど必死のヤタカの思いが通じて…。(Ai)

愛恵

他の話とどこが違うのか。わざわざ他にキャラを作る必要があるのか。疑問に感じるほどの今回も判で押したような受けと攻めの性格付け。まー、受けの由惟がちゃんと働いてるだけマシか。ぶつからないと止まれないってのはかなり難ありだけど。なんて文句を言いつつも、生活能力のない受けとそれにラブラブな攻めってのは大好きな設定なのでいいんです。とにかく猫がかーいーしね。ヤタカのあどけなさにおばちゃん、本持ってのた打ち回っちゃったよ。たとえ横顔が猫というより狐でも! 可愛すぎる。ぱくっ(頭から食べてしまえ)。猫好き必見。和みます。

★★☆


プリンセス・シールド(南野ましろ)/新書館・ディアプラスコミックス


ペットショップ「犬屋」で働く磁有は、従兄弟の樅路を独占してワガママ放題。相思相愛の二人なのだが、磁有の方は誰にでも優しい樅路が自分に振り回されているだけなのだと胸を痛めて(?)いて…。(J)

俺様

姫が可愛いのよ姫が。姫らぶり〜。女の心意気みせた柴犬カットもらぶり〜よ〜。(イヌバカです)マシロリアンワールドなのでなぜか読んでいる間時間がまたーりと流れていくのだった。言葉よりも心と心で通じ合い過ぎているので少しでも知能が高い方が不安を覚えるのがマシロリアンキャラ。高いって言ったってみじんこ程度の高さだけどさ…。まあ、結局は本人達がオッケーなら回りなんて関係なくオールオッケーて事なのな。ところで動き出したトラックをナチュラルに素手で止める樅路は人としてどうなのだろう…。ボーイズにはよく攻が受を担ぎあげるシーンがあるが、考えてみたらどんなに小さく細くカワイイ男でも(カワイイは余計か…)40キロ以上はあるのが普通でしょ。それって2リットルのペットボトルに換算したら20本以上って事でしょ?酒屋のにーちゃんだってそんなのかつげないと思うんだけど…。そうか、ホモは体が資本か…。作品的にはなぜかシュガシュガベイベの方が気に入ってしまった。園児で波留のライバルになる奴が出てくると思ったんだけどね。でも一番気に入ったのは当然「姫のひみつ」でしょう。「じんせいかちぐみ」私もそうなりたい。

★★☆

じゃあな

 どいつもこいつも、尻尾を踏まれてから脳に到達するまでに時間がかかって、後になってからようやく怒り出す恐竜みたいな奴らである。感情が意識に伝わるのが遅い。どころか、ついに自分には到達しないでちがう人に到達したりしていて凄い。少なくとも磁有の感情は縦路には届くものの、自分自身には届いていない様な気がする。それで日常生活に支障がないあなた達がおそろしい。
 もはやましろりあん上級者のこの私は毎回楽しく読めるのだが、一作ごとに低温化が進んでいくから、ここから入った読者は凍死しないのか心配だ。光基と巴の二大宇宙人でリハビリせずにいきなり磁有に出くわすのは、準備体操なしでワカサギ釣りの湖面に飛び込むくらいキケンなんではなかろうか…。深く考えずに「こういうもんか」「このキャラかわいい」と浅い意識をもって楽しむのがツウのコツ。間違っても主人公達の感情の動きをトレースしようなどと思ってはいけない。彼らはかわいいけれど人とはちょっと違う生物。ハーボットだと思えば、ほら、何だか納得できたでしょう?
 波留のルックスの可愛さに押されて、表題作主人公の磁有はイマイチ影薄か。リンクしていないようでこっそりコラボレーションのディアプラス内ましろワールド。今巻は私の好きな猛&杜萌で嬉しかったのでした。
★★☆


夏時間(国枝彩香)/竹書房・BAMBOO COMICS


亡くなった母親の遺品から出て来た投函されていない手紙。両親が離婚したのはこの男のせいではないのか、それを確かめたくて、智は宛名の男・高木を訪ねて行く。(O)


俺様

私はこの人の描くギャグもシリアスも大好きだ。そしてこの人の描くおっさんが大好きだっ!(子供も好きだけどね)無骨なおっさんも好きだが、汚いくせに匂い立つフェロモン優男ってのがたまらなく受オーラを発していると思うのね。智が立派なガタイに成長してもう一度高木の前に現れた時、その時は高木お前は立派な受じゃーっ!と叫び出しそうでした。でも智はきっとあの路線のままか…。
精神的にきつそうなシリアスな話も引きそうなぐらいのギャグ話でもそれは味なので、その中間の作品なんて目指さなくても良いのではないかと思うのですよ。だいたい後書きにもあるように中間を目指した作品は確実に全く違う方向のベクトル引き出してましたしね。キャラ的に一番好きだと思ったのがさかやちゃんな私は問題ありでしょうか…。

★★★
愛恵
「鳩の森〜」から読んでる身としては、国枝名義の公の本が出たって何だか感慨深いもんがあるなあ。にしても異彩を放つほどのBLにあるまじき画力の高さ。そっちの水は苦いんじゃないかい。辛かったらいつでも戻ってきていいんだよ。
短編集だけど揃いも揃って攻めの顔がいかつい。泉は敢えて攻めとは考えずにおく。そして表題作。えっち中に「学校楽しいか?」とか、親戚のおじさんに尋ねられてるようなこと言われてかなり萎えたんじゃ…。それもある意味言葉責めか…。
★★★
じゃあな
 裏表紙を見た瞬間なぜか「ヒロポン中毒から抜けた島田荘司」という、沢山の人にとって無礼かつ不適当な言葉が脳裏に浮かんだが、何度見ても誰かが私の脳の中でそう囁くので困ったものだと。
 盛り沢山と言うかばらっけつと言うかの作品集で、どれも続きが知りたい様な知りたくない様な感じで終わっているので何となく座りが悪いが面白いことは面白い。キャラクターに魅力があるだけに、長いものがじっくり読みたいなーというフラストレーションのたまる一冊である。唯一、シリーズとして二作収録されていた泉くんとテツヤくんのシリーズは読み応えがあったが、これに関しては私の乙女ドリームワールド崩壊の危険性があるので、この先は読まなくていい…知りたくないの、見せないでお願い。
 回覧板を回しに来た泉くんに恥ずかしいところを見られてしまったテツヤくんだが、私は彼のオカズよりも、あの時彼がイヤホンで何を聴きながら行為の没頭していたのか気になって仕方がない。あの性格から行くと、谷山浩子でも聴いていたのか…うわ、出来ねえ。
★★★


恋も2度目だぜ(堀井甚五郎)/光彩書房・光彩コミックス


国広は新宮館道場の長男だが、家を継ぐ気はまったくなく恋人の西戸崎と同棲している。道場の門弟・和白は国広に道場に戻って来て欲しいが、あっさり断られる。国広の妹千早との結婚が決まっている和白だが、国広への思いを断ちきれず…。(O)


俺様

What's New?で話題になった本はこれです。今思ってもあの時の私はどうかしていたと思います。何度もコミックステーションで立ち止まっては「いかん、これを買っては摩訶不思議担当として定着してしまうっ!」と必死に自分を食い止めていたのですが、魔の地五反田でついに手に取ってしまいました。ちなみにこれだけ買ってはどんな趣味の人間かレジの人に疑われてしまう目くらましの本も買わなくてはっ!と思いながら手にとったもう一冊もホモでしたけどね…。手に取ったのもそもそも風邪が治りきっていなかったせいだと俺様自身思いたい…。ゲホゲホ。そして咳は未だ止まらないのだった。呪いか?(いや、気管弱いだけです)
で、やっと内容に触れるのだが、まあ表紙でかなり唸らせてもらったのだが口絵で飲んでたお茶吹き出し息が止まりそうだった。しかし、いまわの際にこんなもん読んでたなんて思われたくないので必死に生きかえった。フェティシズムに走ったセックスが多かったのだが、別にホモでも純愛に生きててもいいんじゃないかな…。エッチシーンを除けば結構純愛ホモドラマか?と思ったのだが、いかんせんみんなどすこいなのが…。やっと出て来た女性が千早なのだが、誰よりも男らしいぜあんた…。しかしあの兄妹を育てた母親はどんな人なのか存在を匂わすだけで登場しなかったが、きっととてつもなく男前なかーちゃんだろう…

じゃあな
 大体が、堀井甚五郎作である。まるで眠り猫でも掘りそうな苦み走ったペンネームで、とても少女に薔薇とスイーツの夢を見せるボーイズラブ作家とは思えない。あげく島本和彦も裸足で逃げ出すこの劇画硬派な筋肉。表題作を読んだときは自分でも自分の来し方行く末を考えさせられた。じゃあなさん、人生それでいいのか。でも読み進むうちになんだか世界観にも絵柄にも慣れてきてしまって、「これだけ割り切って飾らずにセックスしてりゃ誰が文句言う筋合いのもんでもないよな」と納得までしてしまった。じゃあなさん、本当にそれでいいんですか。
 下手に純愛だ独占だと逃げ隠れしない分、いやよいやよと言いながらもちゃらちゃら迫ってくる中途半端な美少年受より、いっそすがすがしいんじゃないの、と思ったが、絵がとてもすがすがしくないので、誰にも薦めないでおく。千早ちゃんが登場するヒキのページでは「この人の描く女性キャラ…この絵で描く女…」と深呼吸をしてから挑んだが、ええと…クッキングパパ? 香椎の人生が更に納得出来てしまい、なんだか強力な説得力を持った一冊だった。



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