ガキの言い分(石田育絵)/幻冬社・幻冬社コミックスルチルコレクション


男女を問わずモテまくりのフェロモン高校生・薬師寺だが、無意識に放出されるフェロモン量 とは裏腹に、本人は母親の再婚に戸惑ういたって普通の高校生。クラスメートの梨本は可愛い顔に似合わず、女性の体がキレイで大好き! というAVキング。二人の元にそれぞれ突然、恋の嵐が迫りくる。(J)

じゃあな

 冬水社時代に比べて、なんと石鯛クエ(何故イシダイクエと変換しようとすると、このお魚二匹になってしまうのかATOKよ)もとい、石田育絵の漫画力の向上したことよ。しみじみ感慨深い。絵を見ているだけでも楽しい、希有なコミックスだ。薬師寺のフェロモンぶりがいい感じ。制服のシャツから覗くインナーシャツがいいなあ、えへ。
 薬師寺カップル、梨本カップルと一つの学園で二組のホモが花盛りなのだが、他の生徒達の反応がまともなのでついていきやすい。ともかく薬師寺のビジュアルだけで一冊十分楽しめるからオススメ。言葉の選び方もかわいい。裏表紙の東海林と数馬は何だか若き日の梶チーフと靫監督というイメージが抜けなくもないが。

★★★☆



もうひとつのドア(月村 奎)/新書館・ディアプラス文庫


天涯孤独の十七歳の広海は、母親の愛人だった男に恐喝まがいの借金を請求され、返済の為のアルバイトに追われる毎日。人とふれあうこともなく、自分にはまともな生き方や暖かい家庭など縁のないものなのだと諦観していたが、バイト先のパン屋に通 ってくる少女・美生と心を通わせる。美生に対して厳しい態度をみせる父親の三夜沢に、広海は反発を覚えるのだが…。(J)

じゃあな

 ボーイズラブというのはある種様式美の世界であるから、「こうなったらこうくる」「ここでこうならんといかん」というのは読者もハナから承知の上だし、月村作品とて決してそのセオリーから外れているわけではないのだが…なんか巧いので騙されるなあ。
 薄幸のパン屋のシンデレラ、広海は(パン屋だけに発酵のシンデレラ…)のっけからパンチの効いた不幸ぶりで「電話! 児童虐待相談室に電話よ! おまわりさーん!」と受話器を持って走り出しそうになった。そこに三夜沢が出てくれば、普通 なら「ああ攻が出てきたわ。もうこれで貧乏から脱出。安心ね」と胸をなで下ろすところなのだが、広海の視点から見た三夜沢は無愛想で無表情なとっつきにくい大人の男。しかも最初からお互い反感を持っているので、すっかり騙されているじゃあなさんは「なにこの男。うさんくさいわね」とすっかり広海といっしょに警戒モードに。途中、三夜沢が広海にやさしさを見せ始めたあたりで「まあっ、この人、もしかして、白馬の王子様かしら?!」と、ときめいてしまったが、もしかしても何も表紙を見るからにわかりやすく、三夜沢が攻だっちゅーの。じゃあなさん、ひっかかりすぎです…。
 最後トントン拍子に綺麗にまとめに入りすぎたかなと思わないでもないが、「ええ話や」はいくつあっても「ええ話や」。なんだかテレビの人生相談に、力いっぱい共感してしまったような気分で読了したが、あー面 白かった。

★★★★
愛恵
ドッキリドキドキする程不幸な主人公。高校にも行かず働いてるのに、 今時風呂無しトイレ共同のアパートに暮らす薄幸っぷり。痛すぎる〜。パン屋のバイトはクビ になり隣室の男には借金を頼まれ、そうでなくても母親に自殺されそのヒモにいつまでも たかられてるのにー。痛いー。ひー。早く三夜沢と幸せになって!と 願ってるのに、 残りページが少なくなってから告白してからに、この。おかげでエッチが少ないじゃないか(馬鹿)。広海の幸せを願いながらも意地の悪い私は、話が大団円に向 かってくにつれて、どうせ隣室の男は借金を返してくれるんだろうよ、 ほうらやっぱり、それで他人を信じるのも悪くないって思うようになるんだよとか考えてしまって凄く自分がヤになった。どうしてこんなに心が穢れてしまったの?! 実は美生は 三夜沢の実の子じゃなくて…とかまで考えたのは穿ち過ぎだったと反省。
★★★



勉強しなさい!(高永ひなこ)/桜桃書房・GENEROUS COMICS


生真面目な広太は、幼なじみで片思いの相手でもある晶と、東京で同じ大学に通 うキャンパスライフを夢見ていた。ところが蓋を開けてみたら合格したのは広太ひとり。不真面 目で一事が万事ケーハクな晶は浪人生活もバイトと女の子をエンジョイしてまったく勉強してくれない。来年合格しなかったら田舎に強制送還されて、はなればなれになっちゃうのに! 気が気ではない広太だが…。(J)

じゃあな

 実は俺様に言われるまで「合格祈願」の人だとは思いも寄らなかった高永ひなこ。私が地味だ地味だと念仏の様に唱えていたら、いつの間にEXPを貯めたのか、ずいぶん派手な作風に転職していた。ただ本作の、特に最初の頃の作品は、やっぱり一昔前の白泉社風で、誰かに似てると思ったら立野真琴だった。まあちょっとした雰囲気と線の感じだけだが。
 しかし、絵が変わってもさすが高永ひなこ。私のボーイズラブ史の中でも、上位 に輝く「とても受とは思えない受」キャラ・宗一にーちゃんを生み出した作家だけの事はある。本作も最初どっちがどっちだかわからず、エッチシーンになって「なにがどうなってるんだ」と混乱する広太のモノローグに合わせてこっちも「なにがどうなってるんだ!」とじたばたしてしまった。
 で、結局、だいたいのところ晶が受らしいのだが、何しろ宗一にーちゃんの子孫であるから可愛くない事はなはだしい。サワヤカなまでの傍若無人さに、いっそ拍手。受が鼻の穴から煙草の煙吐いたらいけませんよまったく…(しかも事後に…)。
 「勉強しなさい!」は晶ではなく、広太がいい加減に晶のろくでもなさを学習すべきだという意味か。

★★★★
俺様
何だか絵が変わってしまったせいなのか、とてもキャラクターの線が 細くなってしまった。私は極太線な受・宗一兄ちゃんが好きだったのだが、 今この人が宗一兄ちゃんを描くと何だかとってもきらびやかな受に なってしまうのではないかと心配だったりする。って今更そんな心配して どうするよ…。最初はどっちが受攻なのかいまいちわかり辛かったりしたのだが、 広太よ、君のその思考はボーイズ界では受が持つものだと思うのだが…。 晶は男も女もOKなわけだし、どっちかというと晶が攻の方が面 白かったような気がする。結局、晶に振り回され、広太はせっかく入った大学も 中退してしまった。ボーイズ界では東大は広き門として名を馳せているが その東大でもない普通の大学に行っていた広太は何かしら人生を 間違っている。まあ、ホモになった段階で人生の階段は踏み外してるけどさ。 「勉強しなさい!」とは晶ではなく、広太に人生と晶の事を勉強しろという意味なんだろうな〜。そしてマネージャー仕様の眼鏡の広太はやっぱ受だと思うのねん。
★☆



騎士とビショップ(たけうちりうと)/小学館・パレット文庫


高校生の将人は、チェスのジュニアチャンピオンのタイトルを持つ天才少年プレイヤー。小さな頃自分に優しくしてくれた初恋の瑛の事が忘れられないでいる彼のもとに、ある時突然瑛から電話が来る。ジャーナリストになった彼は、将来有望なチェス・プレイヤーである将人を撮影したいと申し入れるのだが…。(J)

じゃあな

 おいおい、昨年はたけうちりうとイヤーだったとか言いながら、このシリーズを読んでいなかったのか。そして今更読んだのか、と言われても、全くその通 りなんであるが、ハイ、今更読みました。これ一冊だとよくわっかんねーなというのが正直な感想。
 将人はちゃんと判断力も観察力もあり、愛情も理解した少年なんであるが、その彼がどうして学校と家庭にそれほど不満を持つのかよくわからない。友達がいないって言うけど、侑哉とわあわあやりあっている彼を見ると、別 に友達が出来ないとも思えないけどなあ。そしてそんなにひどい家庭かねえ。そこらへんが天才少年チェスプレイヤーの、天才ゆえの孤高と偏屈というものだろうか。
 そして瑛も侑哉も、よく考えると物凄い自分勝手な事をバンバンしており(特に侑哉)それで「好きだ」とか言われても、アンタホモとして以前に人間としてちょっとおかしいから、考えさせてください。つーかイヤだ。
 読んでいる間は結構面白かったのだが、事件も起こりそうで起こらず、読み終えてみると「…以下次号?」という気分になる。ティンといい、侑哉といい、話し言葉が独特で、実際に人間が喋るとどういう雰囲気になるのかラジオドラマかなんかで聞いてみたい気がする。その後のたけうち作品ではあまり見かけないが、キャラクターがやたらと「アハー」というので、秋月こおの「あはっ」みたいに、言わずにはおられない言葉なのだろうか。それにしてもどこかで見た台詞だ…と思ったら、「三つ目が通 る」の写楽クンであった。

★★


恋愛依存症(金丸マキ)/光風社・クリスタル文庫


叔父の学園で講師を勤める大和は、真性ゲイでシニカルなペシミスト。ワガママで意地っ張りの彼に夢中になってしまった生徒の璃一は、一途な恋愛で年上の恋人に尽くすのだが…。(J)

じゃあな

 私はむしろ恋愛不感症なので、ボーイズラブにしてもラブストーリーの惚れたはれた主体のものよりも、銀行強盗しながら恋をするとか、世界を滅亡から救いながら恋をするとか、そういう話の方が好きなのだが、これは二人がひたすら恋愛に七転八倒してるだけなのに非常に面白かった。文章が軽妙なのもあるが、ともかく大和と璃一二人のキャラクターがとてもかわいい。挿絵の山田ユギもイメージ通 り。私は電車の中とかでホモ本を読むときは、挿絵のあるページはページで隠すか飛ばすかしながら読んで、家に帰ってからはじめて見て「げーっ、こんな絵だったのか」とか「うそっ、全然思ってたのと違う!」という事もしばしばだがこれは「うん、これが大和で璃一だな」とすんなり納得。ただ、挿絵の安達さんが思っていた以上にステキだったので「…アラ(ぐらり)」と、ちょっと璃一を捨ててしまいそうになったが…。ごめんね璃一。大人っていろいろ汚いんだ。

★★★★


楽園まであともうちょっと(今 市子)/花音コミックス 1巻


別れた妻の頼みで義父の経営する旅行代理店の店番をすることになった川江務は、借 金の取立てに来た浅田貴史と知り合う。浅田が気になって仕方がない川江だが、浅田 は社長の菊池と不倫中。おまけに社長の奥さんが二人の関係を気づいているようで・ ・・。 (F)

フェネギー

華がないぞ!ボーイズラブなのに!なのにめちゃめちゃ私の好みなので星は5つじゃ !文句あっか! ベッドシーンなんか全然色気ないぞー。でもキスシーンはちょっといいかも。くすすっ。雑多な生活感あふれる中に自然に溶け込むホモ。主役・脇役の垣根を越えてす べてのキャラが人間らしく生きている。登場人物が隅から隅まで魅力的。エレベーターで一緒になるやくざがたまりません。お義母さんもいい味出している。ボーイズ ラブの形をとっていながらテーマはホモじゃないだろ今市子!だってこんなに面 白く 読んでおきながら読み終わってから主人公の二人の名前が思い出せなかったもん! (って、それってある意味問題なんじゃ・・・) 二人の気持ちもいい感じに揺れ動いているし、これからますます人間関係も入り組んできそうで先が楽しみな作品。浅田くんは好みの受なので、腐れ縁やしがらみを脱ぎ 捨てて川江と幸せになれるよう祈っています。 しかし不倫の社長、なんだかかわいいヤツだな。奥さんに捨てられた暁には私と結婚してみないか?

★★★★★
じゃあな
 本編よりフェネさんの感想を先に読んだので「まーたまた、主役の名前が覚えられないなんて事あるわけないでショ」と思いながら読んだのだが…今、確かに思い出せない。マ、マホトーン?!
 まあ、そんなのは些細なことだ(そうかな…)。滅法面白かった事に間違いはない。今市子は画力ストーリーキャラクターの魅力すべて合わせて申し分のない、当代きっての実力の持ち主だが、タイトルのセンスは…あんまりない。なんかこう、ダサいわけでも、的はずれなわけでもないのだが、どうにもキャッチーさがない。本作もその例に漏れないが、読み終わってみると「楽園まであとちょっと」でも「楽園までもうちょっと」でもなく「楽園まであともうちょっと」という、近そうな割には全然たどりつきそうもない感じが、何だか笑いを誘うのだった。
 トライアングルホモも小百合ちゃんも(どうも最近魅力的な女性キャラが出てくると、オブザイヤー候補だ、と目をつけてしまう)みんな可愛いが、ヤクザのテラさんが一番味わい深くてタイプだなあ…。龍&虎組長もいいカップル、いやさいいコンビである。脇役に至るまで味があるが、園田母は味がありすぎて「百鬼夜行抄」なら間違いなく妖怪の役どころである。
 結構、カップルのまとめ癖がある今市子なので、本作は誰がどういう組み合わせで落ち着くの興味深い。小百合ちゃんの漂着先が一番知りたいな。
★★★★
俺様
じゃあなちゃん同様「フェネさんてば主人公の名前が覚えられないわけないじゃん」 と思っていたけど、すまんやっぱ俺も覚えられなかったよっ!なんせ覚えていた 人名は「テラ」さんただ一人。そして猫のアリサ。テラさんは味わい深いキャラだよ ね。
今市子は画力とストーリーがマッチングしていて、何を読んでも味わい深く面 白い。 それが曲者なのである。面白い作品というのは読み終わって「ああ、おもしろかっ た」で 終わってしまう。今までも今市子作品は読んできているのだが、文章にするのは なかなかに難しい。どの感想も簡単に書いてそうだが色々と悩みながら感想を書いてたりするのよ。(これでもね)川江は色んな人に人生振り回されているのだが それを楽しんでいる風にも取れる。結局小百合ちゃんの頼みを断れないのも 人との触れ合いを楽しんでいるからなのだろうか?しかし、ある程度の年齢に 達している人間ならば、ちょっと頼まれただけで保証人のハンコは簡単については いけないぞっ!大人げない事でムキになるやーさん達も楽しいのだが、 気になるのは主人公よりもやっぱテラさんなのであった…。俺としては小百合ちゃん とくっつくってのに100万クルゼーロ。(そんな単価あるのか?)
★★★★
愛恵
読む前に気合を入れた。何故かと言えば主人公の名前を覚える為。ふむふむ、これが 川江でこれが浅田か…と、必死になっていたのも束の間。お、面白すぎる、とすぐ夢 中になって引き込まれた。ああまだ途中なのに病院に行く時間。いやだいやだ、サボ ろうか、とマジで考えたが泣く泣く本を閉じた。そして勿論持参した。ブラボー今市子。地味な作画でも隅々まで丁寧に描き込まれていて大変素晴らしい。何より登場人 物が皆生きている。まだ1巻なのに内容充実しまくりで大満足。浅田の無表情ぶりが またいいねえ。海老ゴローに通じるものがあるわ。馬面が好きだなんて趣味の悪さも またうっとり。
久しぶりに読んだホモ本が当たりで本当に良かった。これでお母さんまだまだ頑張れるよ。
ただし連帯保証人と保証人の違いぐらい説明されなくても知ってるのが常識だし、い くら小百合ちゃんの頼みでも簡単に保証人になってしまう川江の阿呆さ加減に星一つ減。
★★★★


楽園まであともうちょっと(今 市子)/花音コミックス 2巻


借金取りの浅田と旅行会社の楽園企画の社長川江はデンジャラスな人間関係を繰り広げている。様々な人間関係が入り乱れ、二人はお互いの事を考えている暇もままならなかった。(O)

俺様

マンガとして面白いので「おもしろい」としか言いようがないのも困るのだった。あとがきにより5年後もまだやれてもいない二人。悲しいのは川江だけなので別に構わない。まあ浅田がガマンできなくなれば話は別だが、精神的にはタフなので何もなくても浅田はその時が来るまではガマンするだろう…。
テラさんが浅田を押し倒した時「別にそれでも構わない!」と思ったのは私だけだろうか。しかし、いい年をした大人達がどいつもこいつも夢食って生きてやがる…。正直楽園企画の会社経営面でイライラさせられているのだった…。いかにもな雰囲気の猿並だが、人間関係のカンフル剤としてはかなり強烈だったかもしれない。人間関係が様々に複雑になってきた巻だが、それぞれに決断した事も沢山あった。とりあえずどう収拾がつくのか楽しみです。

★★★☆
じゃあな
 しまった、今読み返してみて気づいた。菊池瑛子夫人をオブジイヤーの女性部門に投票すれば良かった! 園田母子の人気の影で忘れられていたが、十分香ばしいキャラだった。特に一巻と二巻の豹変ぶりが凄まじく、2003年は菊池瑛子躍進の年とも言えたな。躍進してどこへ行くんだか知らないが…。
 と、いうわけで、一巻では竜虎組長、二巻では瑛子夫人だ園田母子だと、脇にばかり気を取られがちな本作。面白い事は面白いが、読み終わった後どんな話かと聞かれると返答につまる。パ・ド・ドゥと言うよりは群舞を見る思い。あちこちで個性的なダンスが繰り広げられていて、誰ががプリマなのかよくわからないくらい。ボーイズラブで群像劇って珍しいかも…いや作者は別に群像劇のつもりはないのかも知れないが…。。
 川江と浅田君は悲しいくらい相変わらず。一巻から私の好みのテラさんはやはり好みで、彼が浅田君を組み敷いた時にはドキがムネムネした。実は一巻で虎組長の煙草に火を点けるテラさんを見た時から、ムネがムラムラしていたのだ。逆に猿並さんにはムラムラしない…。「本物っぽい…」とちょっぴりげんなり…。なまじオヤジ描写も巧い今市子だけに、彼と川江のキスシーンでは、うっかりボーイズラブの魔法から醒めそうになった。
★★★☆


楽園まであともうちょっと(今 市子)/花音コミックス 3巻


川江と朝田は想いを寄せ合うが、借金をはじめとする様々な問題が、二人の前には山積みだった。休む間もなく借金返済のために働く二人は猿並の山小屋を訪れる事になる。(O)

俺様

誰か俺に100万クルゼーロくれ!!(1巻感想参照)
さて、両想いになった川江と朝田。これでやっとホモらしくなるかと思いきや、何も進まないどころか朝田が妙な意地を張って全く先に進まないうえに、川江が借金返済に追われすぎていて進みたくても時間的余裕も気持ちの余裕もなくて、見てるこっちが俺の100万クルゼーロくれてやるからさっさとやっちまえ!と思わずにはいられない。
猿並さんが一生懸命二人に火をつけるべく何度も放火まがいの事をしてくれているのに、彼が火をつけようとしたのは湿りに湿った薪の束だった…。
ぶすぶすと浅田は煙をはくものの、川江に至っては全く違う薪に火をつけかねん勢いだった。借金が全てにストップをかけている。やっぱり世の中金か…。
普通だったら「ふざけんな!やってこそのホモだろっ!」と本を投げ捨てるところなのだが、それはほれ…話が面白いからしょうがないやね。しかし父親というのは不思議というか、やっぱり自分の息子がやられたちゃった事は想像がつかないっていうか、田舎だからなのか猿並さんをお嫁にもらうつもりだった川江父はとんでもなく度量の深い大物なのかもね。
最終的に丸く話がおさまるどころか色々問題は山積みなので、ぶっちゃけやってるとことかどうでもいいから話を続けてほしいぐらです。書き下ろしのテラさんのネコバカぶりが可愛かったです。猿並さんと熊田のその後も相当気になります。

★★★★
じゃあな
 これはラブストーリーである、これはこのキャラとこのキャラがこういう風になっていく為の物語である…という基本のレールがないので、完結しても、したんだかしてないんだか。何がどうなって、どこが落ち着いたと言いたいのやら。面白いんだけど、ゴールのない「24-TwentyFour-」を見ているような気分。一話ずつを、もっとコマに余裕をもって描けば、オムニバスの短編集と言えたかも。
 小百合ちゃんと猿並さんのキャラが出色だった分、浅田君はルックスで何とか点数を稼いでいたが、どんどん空気化していく務が気の毒な限りだった。小百合ちゃんはかわいい、面白い、というだけでなく、凄く共感を持てるキャラで、バカな二人を「自分の手に入らない男だけど大好き」と思ったり「しょせん他人様の恋愛」と割り切ったりするところは「うんうん、ホント、そうよねー」という感じ。対して猿並さんは…今市子がこういうキャラを描くときっていうのは大抵妖怪なんだけど、彼はショタという名前の妖怪だった。山に棲む属性の。その彼が迎える意外な局面が見ものだった。務と浅田くんのその後よりも、猿並さんのその後、そしてテラさんのその後を希望する声の方が高いんじゃないだろうか。
 作中、もっともスッキリと完結してくれたのは菊池氏か。ま、頑張ってね。
★★★☆


恋は異なもの妙なもの(蔵王大志)/新書館・デイアプラスコミックス


百発百中の予知夢を見る事が出来る田村。成長とともにその力は薄れてきたかに思われたが、中学生の時、見知らぬ 少年とラブラブにエッチしている夢を見てしまう。その日が現実にならない事を祈り続けてきた田村だが、高校の入学式で「例の男」・西和と出会ってしまう。(J)

じゃあな

 その前に読んだ作品がことごとくつまらなかったので、蔵王大志というのは彼女の絵が好きな人にのみ嗜好の合う漫画家かなーと思っていたのが、本作は古典的基本的な感じでまあ面 白かった。初心者入門系かも。エッチシーンがない(わけでもないと思うけどな。ディアプラスだったらあんなもんでしょ)なのは途中で面 倒くさくなってしまったから。そういったところは同人誌で出すかもね〜とフリートークで匂わせていたが…えっ、そういう商売ってアリか?! 別 段欲しくないのが幸いである。

★★


Close Your Eyes(りぎあ・もーりす)/桜桃書房・GUST COMICS


都市制御プログラムを開発した「建国の父」羽野博士の遺児である笹雪は、莫大な遺産にも手をつけずバイトに明け暮れる勤労少年。偉大な父を持つがゆえに狙われることの多い笹雪は、ある時暴漢に襲われかけたところを、不思議な青年に助けられる。礼を言う間もなく黒い獣に姿を変えた「ゼロ」の正体は…? (J)

じゃあな

 書店に行ったら買おうと思ったものがことごとく手に入らなかったので、悔し紛れに購入した。実はP.N.の印象から、すっとこトンチキな作風だろうと思っていたら意外とまともでびっくり。私の好きなタイプの設定が盛り沢山だったので(ロボット、サイバー、ウィルス、人獣…)結構楽しかった。全体的なSFレベルとしては浅川まゆみ並ではあったが。
 博士がゼロを作った(作らされた)経緯とか、プログラム解除の経緯とかがちょっと未消化かなと思わないでもないが、言葉の使い方も綺麗だし、出発点から着地点も一貫していてスッキリ。ロボットが出てくるボーイズラブ最大の難点「そういう機能はあるのか」については深く考えさせられたが。あったかも知れないな…最終的には。
 帯に「衝撃の問題作」とあったので、おいおいガストで何が問題作だよと最初は笑い飛ばしたのだが、冷静に考えてみればあんな問題作やこんな問題作が続々と思い出された。あれもこれも桜桃じゃん…。本作などはそんな問題作に比べたら、問題にもならないくらいの問題作だった。私の中での問題は「そういう機能はあるのか」という、それただひとつである。

★★




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