雲の形が変わる前に(火崎 勇)/心交社・ショコラノベルズ


広告会社の営業として張り切る永橋は、商談をモノにしようと大手酒造メーカーのクライアントを訪れる。ところが企画の担当者は、彼の高校時代の大親友で、恋心すら抱いていた三角。卒業式の日に手紙で思いをうち明けたものの、手ひどく無視されたつらい記憶にもくじけず、前向きに仕事に取り組む永橋だが…(J)

じゃあな

 ここのところ「常識人で、ちょっと大人しめのサラリーマン」という「火崎勇らしいキャラ」いうくくりで総括される主人公達が多かった作者の作品としては、出色の火の玉 主人公登場である。どちらかと言うと皮肉屋のクールビューティーの好きな私には「はいはい頑張ってね」という感じだが、恋にも勇敢、仕事にも果 敢で好印象ではある。表題作は、仕掛けは単純だが永橋の健気な意地っ張り具合がいい切なさバランスでなかなか楽しく読んだ。しかし続編の方がいただけない。色々あって結ばれたカップルが、次は「親への紹介どうしよう」「一緒に暮らそうか」という展開になっていくのはいかに定石通 りで面白みに欠ける。別に本シリーズに続編はないのだろうが、次は田舎から妹が出てきて、どちらかに見合い話がもちあがるんでしょ、と冷めた目をしたくなってしまう。ジャンルがちがう(?)のだから比べても仕方ないが、結ばれた途端、受が失踪してニューヨークで天才音楽家になってしまう「スティール・マイ・ハート」は本当に斬新だったな…。誰も見合いなんて頼んでもしてくれねえぜ…失明したり浮浪者になったりするのに忙しくて…。
 本作に話を戻すが、第二話に登場する永橋の友人が、章が変わったら突然、名前が変わってしまう(トミーがトムになってしまうわけではなく、もっとあからさまに田崎が野崎に変わってしまう)というのには本当にがっかりした。一カ所や二カ所違うのではなく、物語の途中から突然一変してしまうのである。結構真面 目に、丁寧に読んできたのに、その瞬間「なあんだ、この程度だったか」と急に力が抜けてしまった。どんなにザッと読んでも気づくくらいの間違いだ。誰もゲラを見ていないとしか思えない。噛みつくついでに噛みついておくが、表紙の永橋の手も、なんだか微妙な角度ににょろんとしていないだろうか。

★★



デジャブ。 (門地かおり) /ビブロス・BEBOY COMICS


子野は週末高輪の家に出入りするようになり、同じ野球 チームにも入った。高輪と話をしていくうちに子野は何か 違和感を感じる。前にも同じような事があったはずだと、 デジャブーを感じていく。 (O)

俺様

ああ、やっぱり電波系…。痛い系でしたね…。 門地作品も結構波は激しいっすね。今回はかなり荒波でした。 とくに「深淵」。いやぁぁぁ、戦争なんてするから人はおかしく なるのよぉぉっ!!しかもあんなもん食うなんてぇぇぇぇっ!! あるページ見てちょっと半泣き…。きっとじゃあなちゃんも泣く。 どれもこれもすごくて、恋姫後日談に一安心って感じですか。

★☆
じゃあな
 やっぱり首の細い手足の華奢な美少年はよからぬ と思う…。全国一千万のショタファンと門地かおりファンに背を向けて、俺は一人荒野を往く…。門地短編作品の場合、いつ足下にでっかい落とし穴が開くかわからないので、落ちないぞぉ…ふへへ…俺は絶対に踏み外さないぞぉぉ…と、足下にばかり気を取られて、本編を楽しむ事などすっかり忘れてしまった感がある。じゃあなさん、びびりすぎです。問題作の「深海」だが、「それにつけても」などと、おやつはカールなみの接続詞で思いつくくらいの事なら、いっそ思いつかないでいて欲しかった。
 唯一安心して読めたのは「恋姫」後日談。私の呪詛の甲斐あって、スカポンタンの幸ちゃんにようやく切ない改心のきざし。ちょっと大人びた優紀もいい感じで、タイトル通 り暖かい気持ちで読了出来る。



SLEEPING BEAUTY(芳崎せいむ)/オークラ出版・AQUA COMICS


未来大戦後のアメリカ。突然昏睡状態に陥り、二ヶ月は回復する事がないという奇病「スリーピング・ビューティー」が猛威を奮う世界。軍人あがりの腕利き保安官・アープがひそかに思いを寄せるドクターが、病に倒れる。折悪しくアープに恨みを抱く凶悪犯の出所が重なり、大切なひとを守る為にアープは…。(J)

じゃあな

 戦争はよくない。そして昏睡状態の人間を、千葉の野菜売りのおばちゃんの様に箱に詰めて背中にしょって歩くのはもっと良くない。意識取り戻した時には身体中ボコボコのグキグキになってると思う。あんな屈伸した状態で何時間も…。呼吸についても少し配慮して頂きたいものだ。しかも何でネクタイをしめたまま…。どうしても折り畳んだまま背中に背負って歩きたいなら、せめて楽な服装に着替えさせてやってくれ。考えるにつけドクが哀れでならん。巨大・大人用ねんねこを作って背負う、もしくは、あの環境下なら寝袋で巨大芋虫を作って橇で引く…というのが一番正しい運搬方法だと思う。いや、やっぱりそれ以前に誰か信頼出来る人に任せておいていけよ…これまで街の人々の健康を支えてくれたドクターに注射ひとつ打ってくれる人もいないのか。やっぱり戦争は良くない。荒廃した世界って隣組もなくってイヤ。
 何と言うか当時の冬水社らしい真摯な情熱と片手落ちに壮大な世界観で、わりと好きなシリーズだったのだが、書き下ろし部分にはびっくり仰天。アラー。絵が変わられましたこと。巧くなったと言うよりは書き込む様になったというか。どこか劇画チック。どっちが好きかと訊かれると悩むところだが、あえて言えばドクの髪は旧バージョンくらい長い方がタイプだったかなあ。

★☆
俺様
私は芳崎せいむの絵が苦手である。なのであえて手を出さないで きたのだが、まあたまには読んでみるかと手にしたのだが、 あなた誰ですか?全部絵が違います。そして今の絵はどれですか? アープはバカだ。たぶん俺が声を大にして言わなくてもみんな分かって いると思うし、それぞれ突っ込んだと思うのだが。人を背負って歩く時に 折りたたむのは止めろ!しかももうちょっと服装だって楽なものに してやれよ。アープは自分が捕まえたアバドンに狙われているのだが、 なぜ逃げ出すのだ?怪我をしたとは言え捕まえた事のある相手だろ? だったら迎え撃った方が手っ取り早いんじゃねーの?わざわざドクを 危険に晒してまで逃げ回る必要なかったような気がします。 そして後ろ向きに撃たれてもその弾をよけるつもりだったって、 あなたはエスパーなんですか?二ヶ月寝たきりの人間はあんなに体が 速やかに動くものなんでしょうか。折りたたんではベッドに伸ばしてを 繰り返していたドクの背広はなぜシワがないのでしょう。未来の話だから 形状記憶背広なのか?それともアープが毎日アイロンがけ? SBにかかり治療の受けられない人は道端で死んでいて、 それを誰も大騒ぎしない程に未来大戦はものすごい戦争 だったのでしょうか?それが疑問です。
★☆
フェネギー
これは誰?誰なの?ハンサムだったドクがいつのまにか小熊になってしまったわ。黒髪悪者くんも美形だったはずなのにいきなりただの気持ち悪い人に変身したわ。右の ページと左のページで顔が激変したショックで私はしばしそのページから目を逸らせ ませんでした。中ほどにある短編も現在の絵で、びっくりしたけど違う話だからいい かーと自分に言い聞かせていただけに、同じ話のしかも続きが気になるクライマック スでくまさんドクを見せられた私は一気にハートブレイク。2巻以降を読むのが恐い です。割と好きなシリーズだっただけにショックもでかい。何か悪いものでも食った か芳崎せいむ。
昔の君が好き



よろず屋稼業只今盛業中(霧島珠樹)/桜桃書房・GUST COMICS


元刑事だがお調子者で気分屋の剣吾は、真面目な弟の嘆く声も聞かず、よろず屋として気ままな毎日を過ごしている。相棒はダウジングで時を読むクールな陸。ある時二人は父親を殺した犯人を捜して欲しいと飛び込んできた少年の依頼を受けるが…。(J)

じゃあな

 タイトルのヒネリの無さでまず内容の半分が知れたというものである。そういう話だった。絵はまあゴチャゴチャとそれなりに(じゃあなさん、それじゃわかりません)。陸のクール具合は結構タイプなのだが、この腹筋でこのエッチはずるいと思う。期待するよな! 誰もが! なあ?!
 私は何でも屋とか探偵とか、そういうのは割と好きな設定なのだが、ガスト編集部はひょっとしたら私より大好きなのかも知れない。有難いことである。大抵「実は男でした」とか「実は嫉妬して困らせて見たかっただけなんです」とかしょーもないオチの来るBL系探偵物の中で、この作品は直球だがちゃんと「事件」を作って「解決」しようという意欲が見受けられる。折角だからもう少し続けて頑張って頂きたいものだ。いつか華開く時が来るかも知れないし来ないかも知れない。

★☆
俺様
ステーションで表紙を見た時に、だいたいの内容はわかった。 (たぶん大方の人はそうだろう)そして回覧されてきて、思っていた 内容と大体の路線で相違ない事が判明した。どうしてホモカップルの 職業率に刑事→探偵という図式は多いのだろう。それだけ事件を考えなくてはいけないので大変だと思うのだけどね。剣吾って もしかしなくてもあまり探偵業に向いてないのでは?仕事はいきあたりばったりだし、優秀な警察官だったわりには陸のダウジングとマダムに聞けば何でも解決かい…。そしてあの筋肉であのエッチ。 つーかあの筋肉はどうだろう。線とトーンで誰でも筋肉マンかい…。 画面が何だかごちゃごちゃしていてちっと読み辛いかな。 弟の彼女の話が何か伏線なのかと真剣に考えていたのですが、 彼女の姿すら見えずかなり肩すかしでした。




よろず屋稼業只今盛業中(霧島珠樹)/桜桃書房・GUST COMICS 2巻


今度の依頼人はストーカーにつけ狙われていると不安がる美形モデル。ところが彼は剣吾の高校時代の同級生。自分の知らない剣吾を知っている潮の存在に、陸は心中穏やかではないのだが…。 (J)

じゃあな

 なんか一巻の方がまだ事件を作ってそれを解決させようという気概があった様な気がする。二巻はまるまる「なんちゃって犯罪」で、それならそれで陸と剣吾がいちゃいちゃしていてくれればいいようなものだが、そこのところは相変わらずチラ見せなのだった。毎度の感想ながら、その腹筋でそのエッチはずるい。絶対ずるい。
 それにしても、手塚海之のコイン占いより役に立たない陸のダウジング。100%の的中率を誇るのなら、なにかもっと使い道はないのだろうか。キャラクターの顔が、全体のバランスが完全にどうかなっているのにパーツごとに完成されているところが、いっそ処置無しの感あり。全体的に下手ならともかく、ここまである程度の技術を身につけながらヤバさに気づけない(直せない?)のは気の毒だ。




潮路ヶ浜3丁目(小鳥衿くろ)/桜桃出版・GUSTCOMICS


山の上の小さな下宿に暮らす高校生の小太郎は、人懐こくて病弱な転校生・朋と同室になる事に。人と触れあう事は苦手だし、面 倒見だって良くないのに、みんな朋の世話係の様に言われて憤慨する小太郎だが、危なっかしい朋からは次第に目が離せなくなって…。(J)

じゃあな

 内容をいちいち考えて描いていたのかどうかは疑問が残るが、面 白いからまあいいのか…。一巻の前半は小太郎と朋、後半は不思議な力を持った相田と藤原のカップルの話になってしまって、前半と後半でもかなり別 の話の様なのだが、小太郎と朋編にしても、一話と二話でずいぶん豹変。そして相田と藤原の方にも「ええっ、こういう話になっちゃうの?!」という急展開が…。まあ、それでも面 白いのが不思議なところだなあ。フキダシ外に遊びがあるこういう漫画に弱い私。テンポとスピードと雰囲気がだいぶ違うのだが、この人と南野ましろの感性は根底では似ている様な気がする。
 相田はヴィジュアルめちゃくちゃ男前なのに、可愛すぎです。頬染める似合わなさと、たまに見せる笑顔の不気味なキュートさったら。そしてパープル・シャドウは素敵すぎますね。はかなげなピンクのブルーあしらいの巧さにも注目。エスパー・チームの話もかなり読みたいです。書き下ろしの「米なら一升」も可愛かった。こういうノリ大好き。

★★★☆
俺様
私は作者の名前の読み方をよく知らず、ずっと「ことりえりくろ」と 読んでいた。正しい読み方をじゃあなちゃんから聞いたのだが、 なぜか「いいの、私えりくろって呼ぶから。もう決めた、この人は えりくろ、えりくろんよっ!」と正しい名前があるのにもかかわらず 勝手に命名。そんなわけでえりくろんよろしくっ!って俺に よろしくされてもな。ところで主人公が定まってないのはなぜ だろう。小太郎と朋だってもっと色々と話があるのかと思って いたよ。何だかとっても伏線っぽかった小太郎の病気は、 何でもはいったおにぎり食えば解決なのかい?そいつは あまりにも肩スカシじゃないか。まさか一巻後半から相田が 主人公になるとは思ってもみなかったよ。たぶん歴代エスパーの 中でもダントツにパワーがあると思われる相田とその仲間達なのだが、その行動は何だか「チャッピーと愉快な仲間たち」を彷彿とさせる。ところで相田達のチームの存在意義は何だろう? パープルの格好良さに真のホモ道を見たかもしれない。 そうだよみんな無理めの男を狙ってこそホモじゃないかっ! とにかく世界の平和より自分の平和が大事な人達だが、 それぞれの生き様がおもしろいので、これからもちっぽけな事に 色々とがんばって欲しい。
★★★



明日の希望(七瀬かい)/芳文社・花音コミックス


初恋だった義弟の空良が兄の朱里と結ばれてしまい、実家に居づらくなった斗紀は独立を宣言する。ところが引っ越した先はイヤになるくらいのボロアパート。やけ酒を呑んでつぶれた斗紀は、知らない男達に介抱されて…。助けてくれた叔父の貴良は、その夜何があったのかを教えてくれないが、この腰の重さは一体何事?!(J)

じゃあな

 何で買ったのか自分でもよくわからん。七瀬かいは長らく私の鬼門であり、アンソロジーで見かける度に「どへえっ」「うひょおっ」と北斗の拳の悪役が死ぬ 時の様な声をあげていたのだが…。多分表紙を見て「七瀬かいはショタだからいかんのかも知れん。この二人ならおじさんだからどうだ」と妙なチャレンジャー心がわいてしまった為だろう(斗紀は大学生でおじさんではなかったが)。結論からいけば、思ったよりも気持ち悪くはなかったかな…段々何を期待していたのか自分でもわからなくなってきたが。
 展開は阿呆らしいほどスピーディー。トキのハードルの飛び越え方があまりにも唐突で「えっ、いきなりそうなっちゃうの?!」と驚かされたが、その後「えっ、いきなり?」があまりにも続くので「ああ、こういう、ジェットコースターな話なんだ」と納得出来てしまった。
 隣室のゲイカップルは、どう見てもオバサンにしか見えなかった…。

俺様
宗良には親父とパパがいるという出だしで、宗也と貴良の おっさんコンビが出来ているのか?とかなりの勘違いを してしまった。ところで宗良が拾われた過程がかなりサラリと 流れているうえに何故に貴良が育てたのかもよくわからない のだが、とりあえずサバイバルには宗良が必要な事はわかった。 展開は駆け足で、「だってそうなんだもん!」と言いきられてしまい、 納得いかないまま押し切られてしまう。斗紀は人々に愛されているのか いないのか、ただ利用されているだけにも感じられるが、本人が 幸せなら未開の地まですっ飛んで行くのもよかろう。しかし、 全てが筒抜けなアパートで激しいホモカップルが2組もいたら そりゃ夜逃げもすれば老人ホームにも入るわな…。



Major League(七地 寧)/桜桃書房・エクリプスロマンス 前編


日本の球団と契約したメジャーリーガーのウェイド。渉外に立った日本人通 訳の九尋は、通訳兼世話役として何くれとなくウェイドの面 倒を看てくれる。万事そつのない知的な彼の優しいそぶりに、慣れぬ 外国で孤独を味わうウェイドはいつしか惹かれていく。(J)

じゃあな

 設定はとてもタイプ。そして二人の関係の危うさや、ウェイドの純情さなども非常に好ましい。最初が急展開だった割に後半が冗長だと思ったら、どうも単行本化にあたって加筆したそうな。上下段組で一冊にまとめてくれても、別 にこちらとしては良かったのだが。…それにしても。
 キャラクターは魅力的なんだが、文章があまりにも独特である。場面 転換の早さ、視点の移り変わりの早さとあいまって、雑誌のコラムか日記を連続で読んでいる様な気さえする。各節の最後の一行は全て見事なポエム。「ひと、ひとり」には切ない場面 にも関わらずうっかり爆笑してしまい、人間の心の温かさを持たぬ 自分を反省することしきり…。不快ではないのだが、非常に独特なのでペースは掴みづらく、読むのにはどえらく時間がかかる。こんなに独特ならば上下一緒に出して、一気に読ませて欲しかった。
 ウェイドが九尋を呼ぶ時に「クヒロ、クヒロ」とカタカナで発音するのが、クヒオ大佐を思い出させてふと微笑んでしまうお年寄りのじゃあなさんであった。

★★



Major League(七地 寧)/桜桃書房・エクリプスロマンス 後編


狂信的なウェイドのファンによってレイプ未遂という暴力に曝された九尋。持ち前の強靱さで心身共に回復してゆくが、ウェイドの腫れ物に触る様な扱いが気に入らない。このまま自分に触れないならばそれまでだと覚悟を決める九尋だが…。(J)

じゃあな

 前編を読んだときはやけに心理描写 に力を入れたドラマティカルなラブストーリーだと思ったが、後編はアメリカンな社会を描くことに執心が見え、二人の愛憎からカメラはやけに引き気味だった。終盤にいたっては何だか遠い視点から「あららー、そんなところまで行っちやうのー」という壮大な愛の年代記になってしまったわけだが、読後感は悪くない。米国夫婦善哉〜花も嵐も踏み越えて〜。
  箱に入れてリボンをかけそうなくらい九尋を大切にしているわりに、ラスト近くでウェイドが取った行動はすっとこどっこいだと思わないでもないが、九尋にラブなだけではなくて自分の人生もしっかり持って、パートナーと手をとりあって生きていこうとしていると解釈すれば、理想的な(ボーイズラブ二次元的世界における)ホモの姿と言える…かも知れない。
 高橋とジェイホークがいい味を出していた。これで最後この二人がどうにかなったら何だか安直だなあと思っただろうが、どうにかなりそうでどうにかならなかった(とりあえず本編では)ところが、読者にじれったさを与えてくれて良い。やっぱり作中のホモは一作一カップルがよろしいと思う。あんまりポコポコとデキていっても、安値感が増すばかりだ。
 前編の波瀾万丈さから比べると、ほとんどなーんにも起きないような後編。読んでいる間は「もっと大事件が起こるのかな。…別 に起こんねーな」とぶつぶつ言っていたものの、読み終わると「うん。まあ、良かったね」と二人と世界に好感を持って本を閉じられた。結構まどろっこしいけど、じっくり読むには悪くない。

★★★



探偵は月夜に恋をする(遠野春日)/雄飛・アイノベルズ


探偵の直哉は恋人の素行を調査して欲しいとの依頼を受け、早速尾行を開始する。ターゲットが足繁く通 っているのはなんと男専門のホストクラブ。そこのホストに一目惚れしてしまった直哉だが、知的な美青年ホストの雪彦はどこまでも謎めいていて…。(J)

じゃあな

 雪彦はどうもウラがありそうなので、いつ「ふっ、僕が本気だとでも思ったんですか。全部お芝居ですよ」と掌を返すのかと思ったら、恋愛面 では非常に正直で純情であった。ごめん、あんまり展開がスムーズなんで、かなり最後まで疑い続けてた。
 遠野春日は世間の大人気とはうらはらに「茅島氏〜」を読んで「出てくる人出てくる人、ウラがありそうなホモばっかりでもう結構」と放り出してしまっていたのだが、本作で「ホスト」の文字に惹かれて再挑戦。相変わらず曰くありげなホモは多かったが、まあこのくらいなら何とか…。エッチが多い割にはソツなくまとまっており、定番ではあったが破綻するよりは良い。
 あんなに私が疑りさえしなければ、焦らし上手で床上手の雪彦はわりと好きなタイプであった。もっと素直に楽しめば良かったな。挿絵の杜山まこの、かぐやま一穂化だけがちょっぴり不安な一冊だった…どこへ行くのか、杜山まこよ。

★★



赤い絆(東谷 珪)/二見書房・シャレードコミックス


京介は少年でありながら力を持っているため、「和泉」として 依頼人の先見をしている。政財界にも多大なる影響のある 「和泉」を刈谷は友人達に連れられて尋ねる事になる。 自分の運命の相手を見てもらう刈谷だが、その運命の 相手とは…。 (O)

俺様

イジワルな神様を読んでから見直したぜ東谷珪という事で、 何気に本屋で手に取ってみた。そして表紙をめくり口絵の神林に「ほう…」となったが、お前ただの脇役なんかい…。 そして忍なのか。背広姿でタコに乗っているあなたはちょっとステキです。 でも、いくらスキスキメーターが振り切れたからって、ご主人様 (それも子供)にあんな事しちゃダメね。するなら刈谷にしなさい。 と、間違っている俺様なのだが、お話は良いと思う。京介が自分に戸惑いながら刈谷にひかれていく様は初々しく、 刈谷の葛藤もなかなかグー。でも気付けば成長した京介は ちょっとスレちまっていた…。(まあ、あんな仕事してんだから しょうがないわな…)クライマックスが書き下ろしってのが ちょっと引っかかるが、話の主筋的に好きな部類なので 良い感じです。コミックス一冊で繋がっているので、読み応えも 充分です。でも、俺はもしかしたら京介は刈谷よりでかくなって 攻に転身か?と思っていた。そして攻に転身したのなら 昔の借りを返すつもりで神林を襲っちまえと思っていたのだった…。

★★
じゃあな
 「いつギャグになるんだろうと思いながら読む読者」ってそりゃ私だ。シリアスだったんですね失礼しました。しかし凄い贅沢な画面 の使い方をした作品である。まるで「花とゆめ」の様だ。こんなに大コマ使って描くのはボーイズラブ界では後は志水ゆきぐらいのものだろう。いやいやびっくり。そして意外と絵が巧いのにもびっくり。なんだ、問題なのは犬だけだったのか…と思いつつ、人物の頭蓋骨にもかなりの不思議発見。なんだかちょっとエイリアン型? てゆーかiMac型? 一番顕著だったのは京介祖父だろうか。枕に変な跡がつきそうである。
 神林の頑張りに比べて、刈谷はどうもラッキーにばっかり助けられておるなあ。上向いて口開けて待ってたら京介が転がり込んできた様なものである。頑張れ神林。君にもきっといい事があるよ。東郷攻で、受としてもう一花咲かせて見るっていうのはどうだろうね。結婚してからもちゃんと遊ぶって東郷くんも言ってるし。
  ところでここまで書いてから、今もう一度パラパラとめくってみたら、どういう事、ロデム(京介愛犬)はちゃんと犬だわ。そしてグレース(刈谷愛犬)もちゃんと犬だわ。太郎が特別 ウシだったって事か? 太郎よ、君はなんであんなにウシだったんだ…。

★★



ランキング

このサイトについて
BBS
CHAT
トップページ
 
search