ラブ・スレイブ(水戸泉)/X−kids NOVELS・笠倉出版社


孤独な少年綾人は建設現場で見かける、自分とは 正反対に逞しい武藤という青年に憧れる。塾の帰りに 見知らぬ男に襲われたところを武藤に助けられ、二人は 急接近していく。少年達の独占欲と愛情を描いた短編集。(O)

俺様

俺の生きざま見せてやるとばかりにじゃあなちゃんと本屋でチキンレース開催。 これなら勝てるという逸品を掴んだ俺だが、「俺、今刺されても死なない。 (死ねないじゃないところが…)」と言わしめる一冊。すげぇよ水戸泉。 あんたはやっぱりホモ界のシドニィ・シェルダン、いやダニエル・キイスかもしれない。 少年達だけではなく関わる人間(動物)全てが歪んだ愛情を持っている。 まともだと思っていた人間ですら少年達にのめり込み、歪んで行く。 ちゃんとした愛情を受けた事のない子供ってこうなるのかな? 人の幸せって何だろうと、こんな所でちょっと問い掛けてみたくなる。 それまで何も考えずに読んでいたのだが、最後の挿し絵を見た瞬間 「なんじゃこりゃあっ!」と叫ぶ俺がいた。しおせ順よ、人ではない 筋肉を持つ人間を描くのは止めた方がいいよ。

★★☆
じゃあな

 いやー、いいよー水戸泉。最初の二作は大して面白くもなくて、絶倫小学生が跳梁跋扈しているだけだったので「小学生なあ〜、ハチベエちゃん達と同い年なのになあ〜」とズッコケ三人組ファンのじゃあな遠い目をしちゃったりしていたのであるが、三話目の強気なしょーもなさに段々心が弾んできた。美恵子…それでいいのか美恵子…何だったんだ美恵子…。
  そして最終話では心のビートがしょーもなさにロケンロール。武藤さん、アンタ最高だ。いくら薬盛られたって、男女の違いくらいは気付いてくれ。よくぞそこまで勘違いをしてくれた。更に彼に押し寄せる怒濤の運命。思わず取り落としそうになるスバラシイ挿し絵。サイコーのオチ(一夜明けた武藤さんの運命を思うと…)そこからはノンストップで後書き、書き下ろし漫画、作者プロフィールと畳みかける水戸泉パワーラッシュ。作者の魅力満喫。無頼漢・水戸泉。こんなに漢らしい人、見たことない。サブちゃんより健さんより漢らしい。痺れるぜ。星の数は一つ半と乏しいが、水戸泉はそれ自身が私の胸の中の輝ける星である。

★☆



おまえの優しい手で(水戸泉)/LAPIS LABEL・プランタン出版


大地震と異形の生物達により機能を失う世界。 日和と光は異形の生物ヒヴァを抹殺出来る力を持つ。 軍属となり二人でヒヴァを狩る日々が続く。 そんな時、日和に新しいバディがつけられる。 それはかつて自分の父の部下だった松本だった。 日和は頑なに松本に対し心を閉ざす。 (O)

俺様

水戸泉にしてはパンチのない作品。日和と光が話しの中心かと 思うような導入だったので、日和の事を「なーんだカワイコちゃん攻か」と誤解していた。ただ世界中が恐慌状態にあり、またヒヴァをせん滅出来る人間が少なく、日常生活がとても大変なはずなのに なぜか無防備で呑気な人々ばかりである。光と日和が両性具有 という所で私的にはもうギブアップなのさ。しかし、危機迫った状態 であるのに日和の名前の由来のために、戸籍謄本を探しに行く 松本の神経は考えられないというか、なぜ壊滅状態なのに 戸籍謄本が残っている?そんなつまんない疑問しか持てなかった。




恋敵は32人?!(由比まき)/プランタン出版・ラピス文庫


初めて担任のクラスを持つ事になって張り切っている朋也。先輩の送別会で酒を過ごしてしまい、見知らぬ男に介抱される。後にそれが、クラスの異端児・武田裕司の父、晃司だとわかる。(J)

じゃあな

 わかりあえない人大集合。もう、担任に就任した朋也の挨拶を聞いただけで「俺ならグレる」と思った。彼の授業の方針を聞いていても、生徒の気持ちになってみれば「ありがとう俺の人生台無しにしてくれて」という感じ。しかも担任教師がクラスの生徒の父親と同棲してはいけません。女の子に告白されて断ってから、わざわざそれを晃司に報告してしまう朋也の神経はわからんなあ。わからんと言えば、裕司がどうしてシニカルなのかもわからん。晃司が最初に朋也を誰と勘違いしたのかもわからん。わからずとも別に良いがな…。
 男同士だろうが教師と生徒の父だろうが、そんなハードル彼らの前には一切ありません。平坦な道を、きゃっきゃっ、うふふっ、と走り合っていくホモ達の背中が眩しいです。出来るだけ遠くまで走って行って下さい。もう私から見えなくなるぐらいに。ちなみにHは多いです。一冊3ラウンド。一番長丁場で23Pありました。ラピス出版の底意地を見た思いです。

俺様
朋也先生、私は昔とても心のグレていた小学生でした。 その頃に朋也先生と出会っていたら、きっとお前を刺し殺す。 ボーイズラブ?そんな事よりもお前の一人よがりな教育の方が 問題だ。俺が母親ならお前なんか担任から引きずり下ろしてくれるっ! それが読中の素直な感想です。タイトルを見てまさか32人の小学生に やられちまうのかい?とちょっと勘違いしていたのですが、今思えば そういう内容の方が面白かったかもとすら思ってしまいます。 そして絶対裕司は朋也をやっちまうと思っていた。(いけない本を 沢山読んでいる証拠ですね)そうに違いないって信じていたのに、 何もないうえに、父親と担任がデキている事を認めているとは、 全くもって人間の良く出来た小学生だ。気になったのは裕司の母親が突然 出てきた事。息子の運動会を見に来るのはわかるのだが、何の 伏線でもないままに通り過ぎるだけだった。やはりホモに女は不用という事なんだろうか。



プラトニック・ダンス(川原つばさ)/徳間書店・キャラ文庫


有能な通訳の絹一は、その美しさ故に誘いの手が絶えない。求められる事に疲れた彼はある時「日本一わがままなホスト」を自称する鷲尾を自分から金で買う。鷲尾に癒される一方で、鷲尾もまた危なっかしい絹一から目が放せないのだが…。(J)

じゃあな

 かーわーはーらーつーばーさー。毎回長丁場でじれじれさせてくれる作家である。鷲尾もヨォ、さっさと惚れちまえよ!どうせいつか惚れるんなら今惚れろ!今!この場で!さあ!!と、言いたくなる第一巻である。昔ビブロスで出したものを直しているらしいが、どうして修正の際に、いきなり絹一が空手の使い手で、しかも私が前世に百万回ほど聞いた「空手家は素人相手に技を出せない」という無茶な設定を直さずに笑わせてくれるのか。サンキューだ。ああもうお腹痛くなるくらい笑っちゃったよ。ふう。
 クールで美形で有能で、しかし不安定で不器用で…という絹一は結構タイプである。鷲尾も、今のところ大して役にも立たないが包容力があって良い。相変わらず素っ頓狂な当て馬・ギルもいて、今後に期待が持てる。ギルなあ。「ゴールデン・ルール」のディックのトンチキさにはまだ遠く及ばないが、それでも恋敵と言い争うにあたって、上着を脱いで噴水の水を頭から被ってうおーと吠えるアナタは、かなりお近づきになるのを遠慮したいタイプだ。

★★★



プラトニック・ダンス2(川原つばさ)/徳間書店・キャラ文庫


もう客とホストとしてではなく、親しい友人としてつきあいを続けている絹一と鷲尾。初めて手に入れた友人関係を壊したくないと身構える絹一は、上司のギルバートとともにイタリア出張に出かけ、しばし鷲尾から離れるのだが…。(J)

じゃあな

 この世界はなんと広いのだ。おお宇宙よ。お前に果てはないのかい。一巻で、限りなくトンチキだ、出来る事ならお近づきになりたくない、とまで言っていた当て馬のギルを、更に心から愛するグレートイタリアントンチキーノが登場するとは。凄いぜサルヴィーニ。ギルの為にそこまでするか。絹一の不安定具合もハタから見ていると相当エキセントリックだが(何故パタパタとすぐに倒れて人事不省に陥るのか…美形でなかったら許されない体質の持ち主だ)その絹一が霞むほどのすっとこどっこいぶり。こんな人に見込まれたギルに更に見込まれた絹一は、災難としかいいようがない。鷲尾に至っては地割れに巻き込まれた様なものである。
 愛って。愛って一体何だろう。サルヴィーニ一人のトンチキさで、「愛ってなあに?」などと素朴にして深遠な命題を突きつけてくるとは、おそろしい作家だ川原つばさ。「でも、それが愛というものですよ」ってちょっと待てサルヴィーニ。前後の脈絡とか、納得出来る説明とか、そういうものはどこに。「でも」って言われてもこっちはジャストモーメントプリーズだぜ。
 ともかく外人はワカラナイ…と、東京都知事より心の狭い決断を下した私であるが、それにしてもこんな金持ちの道楽につきあわされる名も無き「部下」達に惜しみない拍手を。労働に貴賎なし。

★★★



プラトニック・ダンス3(川原つばさ)/徳間書店・キャラ文庫


イタリアから戻るなり、自分を避け始めた絹一に鷲尾の心は苛立つ。悪友の本庄が新しくオープンするというホストクラブのオープニングスタッフを任されて、忙しく距離を置くうちに絹一の心労と過労は募り、ついに倒れてしまう。絹一の一週間の休暇を、つきっきりで過ごす事に決めた鷲尾だが…。(J)

じゃあな

 ハワイのビーチでホモを読もうシリーズ第二弾。こちらは危険です。元々好きなシリーズな上に、ワタクシの!大好きな!ホスト同士の熾烈な闘いがっ!もう、ハンモックの上で「うけけけけ」とか言ってて相当危険人物。しかも暑くてのぼせてたんだと思うんだけど、何故か本庄と鷲尾が丁々発止のやりとりをしているあたりで鼻血が出てきて「ホモ本を読んで鼻血を出すなんて…」と、自分でも激しく動揺した。砂浜に私の血痕が。いい加減強制送還されそうです。
 さて、相変わらずバッタバッタと倒れている絹一。彼の悩みの深さは、どうも常人には理解し難い次元にあるので「ああ…そうなの? 頭が良くて顔が良くておモテになると、お困りの事も多いんですのねえ、よくわからんけど」と、いちいち首を傾げてしまうが、本巻では自分がそれなりに幸福で、努力した事だって報われてきている事に気付いたのでお手柄である。一方、鷲尾は源氏(偽)名・黒沢豹貴ですって。まあ素敵。後輩に礼儀を教える為に、いきなり振り向きざまにダーツを投げてくれるとは、まるでゴルゴ13であるな。あたしゃ鷲尾のホスト奮戦記、お家に帰るとちょっと神経質な可愛い奥さんが…という話でも全くもって結構なんだが。そしてギル。いつでも私の注目の的ギルバート。またマンションの前で大騒ぎ。土下座して「俺を殴ってくれ」ってアンタ、そりゃあ管理人さんもびっくりさ。鷲尾のマンション前は君のステージなのか。こんな男のどこがいいのかサルヴィーニ。全五巻完結という事なので、残すところあと二冊であるが、あと二回ギルがお気に入りのステージで何をしてくれるのか非常に興味深い。

★★★☆



猫は好き?(剛しいら)/小学館・パレット文庫


仕事の都合で両親が転居してしまった健太の家にやってきた下宿人はすこぶるつきの美女。舞い上がる健太だが、よく見ればオトコ。しかも七匹の猫を連れていて、それが全て鍋島藩の化け猫の子孫だという。奇妙な素性を持つ下宿人の静流に惹かれていく健太だが、近所では奇妙な事件が起こり始める。(J)

じゃあな

 猫は好き?って…猫は好きだが、本作は駄目だ。あれえ?おっかしいなー。剛しいら、ドクター×ボクサーのシリーズが気に入ったので、こちらもシリーズ化されているから面白いのかと思って手を伸ばしてみたのだが…。パレット用によっぽど作風を変えているのだろうか。あくまで個人的な意見だが「っ」「ぇ」「ー」が多い文章は妙に頭が悪く見えないだろうか。「何だって、そんな馬鹿な」と書くか「何だってぇー、そんな馬鹿なーっ」と書くかでだいぶ印象が変わると思う。そして本作に関しては作者の文体が、かなりアタマワルイ方に傾いている。キャラクターも、健太はただのちょっと顔のいい、とぼけたよくある攻だし、静流も可愛くてお料理上手なただの受である。猫も猫だし、犬も犬だ。いや、ドクター×ボクサーのカインとアベルは犬なりにいい味を出していたのだが…。
 とりあえず、ドクター×ボクサーを読んでから期待していくと肩すかしをくらう作品。パレットと言えど全力でいって欲しかった。松岡なつきなんて結構手加減せずに頑張ってるがなあ。剛しいららしさは、医者が異常性癖を持っているというただそれだけか。彼女の世界では、獣医と言えども白衣を着たらストレートなプレイには戻れないらしい。



ただいま(桜木知沙子)/白泉社・花丸文庫


双子の子供がいるという年上のホステスと結婚して、ついに憧れの家族を手に入れる事になった孤児の寿人。しかし結婚式の当日に花嫁は逃げだし、初めて会った「息子」は自分と同い年。逃げた花嫁の作った一千万円の借金を抱えたまま、寿人は双子と暮らす事になる。双子の片割れ、駿は特に寿人を目の敵にするのだが…。(J)

じゃあな

 癒し系に分類されるべきだろう。表紙が地味で、キャラクターが地味で、よくよく考えると起こっている事件は結婚式で花嫁が逃げ出したり、ヤクザが借金の取り立てに来たりと結構派手なのだが「地味だ〜地味だ〜」と思いながら読んでいた。寿人の頭にお花が咲きすぎているのも、駿のカッコ良さが今いっちょなのも、ストーリーの都合上仕方ないのだが、何となく心は懐無限大の愛人つき美青年・双子の兄(しかもこっちが兄だったか…)瑛の方に傾いていくのだった。
 菅野彰ほどウィットに富んでいるわけではなく、月村奎ほど仕掛けが巧いわけでもないのだが、時々出てくる比喩描写(鶏肉…)が印象的な作風。もっと雰囲気を出せば化けるのに。しかし、やたらと誤植が多いんだが、校閲はちゃんと見てるのかね。




ランキング

このサイトについて
BBS
CHAT
トップページ
 
search