ヒミツの課外授業(楢崎ねねこ・水城薫)/角川書店・ルビー文庫


大学生の若名は夜の繁華街でいきなり泥酔した男にホテルに連れ込まれる。どこかで見覚えのあるその男は…課題が多く、厳しいことで有名な鬼の助教授・杉浦だった! 結局その夜は何事もなく終わるのだが、以来、若名は杉浦のことが気になってしまい…。(J)


じゃあな

 文庫装丁で、半分が漫画・半分が小説という校正。へー、読みやすそうだな、と思い軽く手に取ったが、読んでも読まなくても後には何にも残らないという、そよ風の様な一冊だった(綺麗な表現)。
 杉浦がクールなツンデレとあったので「おっ?」と惹かれたのだが、私服の時はただの童顔の青年だし、スーツの時は赤面して怒鳴っているばかりなので、特にクールさは感じられなかった。小説では杉浦の視点になるので、更に体感温度はあがり、ただの純情じたばた受だった。
 同じ物語を、半分が漫画、半分が小説って同人誌でもよく見かける校正で、それぞれに力量の差があると気の毒なものだが、「ああ…よく同じラインで揃えたね…」って、それは感心した。うむ、本当に甲乙つけがたい。どっちもどっちという意味でも。

★☆


引っ越してきました。お隣に(みささぎ楓李)/リブレ出版・BBC


いい年して生活能力ゼロの超お坊ちゃん・匠は、セレブな社長ライフから一転、貧乏アパート暮らしに零落することに。かつて秘書・鴨志田はそんな匠が心配でたまらない。不安だらけの新生活に、隣人のセクハラ金髪美形・蓮司が飛び込んできて、狭いアパートの一室は奇妙な三角関係でいっぱいに!(J)


じゃあな

 ずらりと並べた時に一番受っぽい蓮司が実は総攻というあたりが、さすがみささぎクオリティである。匠と鴨ちゃんがそれぞれ弱り目に祟り目という時期なので、これで蓮司まで「実は俺も心の傷が…」と言い出したら鬱陶しいなあと思っていたのだが、そこはさらりと流してくれて、あえて道化に徹してくれたところが潔いと思った。
 さすが総攻。ご褒美に極兄さんをプレゼント! ここまでは想定の範囲内だろうから、おまけで嘉屋専務もプレゼントするわ! 遠慮無く攻めてネ!
 蓮司のキャラクターは好きだが、彼の服のセンスは凄まじいものがあった。特に最終話前半で着ていた素肌にビスチェ(?)は、表を歩いたら速攻で職務質問級である。だから表に行く時は着替えているのか…。一応アレは部屋着なんだな…。

★★☆


ラヴァーズ・ポジション(水無瀬雅良)/徳間書店・キャラコミックス


高校時代、憧れの隼人先輩の隣にはいつも綺麗な基先輩が一緒にいた…。叶わぬ恋と諦めていたのに、基と別れたばかりの隼人と、ふとしたきっかけからつきあう様になった潤。幸福だけど、どこか不安な日々を過ごしていたが、予期していた通りの暗雲がたちこめて…。(J)


じゃあな

 絵は綺麗なんだけど、話は「別にホモじゃなくてもいーんじゃない?」みたいな。併録の「LOVE DAMAGE」も、いつもノーマルな相手ばかりを好きになって、結局は捨てられてしまうことを繰り返してきた青年が今度は…という話なので「これぞ男同士ならでは! こんな物語が読めるのは、ホモだけ!」みたいな設定の筈なのだが、ことれまた「…なんかフツー…」と…。
 受がどちらも恋愛ホリックで、他に何にもなくって、ついでによく赤面してよく泣く「性別・受」だからピンと来ないんだろうな。せっかく体型が男なのに残念。

★★☆



わがままな人魚様(果桃なばこ)/リブロ出版・BBC


ドジで臆病で、いつも苛められてばかりの泣き虫サラリーマン・可南が、ある日部屋に帰ると、上からの水漏れで大浸水。なのに、上階の住人は悪びれる風もなく、謝罪するどころか、可南の部屋に転がり込んでくる始末。メシ、風呂、酒、とワガママ放題の男に、気弱な可南は全く逆らえない。尊大な男は海王と名乗り、自分は人魚だと言うのだが…(J)


じゃあな

 すっげー頭悪くて、何にも考えてない話。サイコーだ。作画もやばくて、あますところなくC級。なんかもう清々しい。
 もし私が担当で「…で、こうなって、ここの展開で詰まっているんですけど、どうしたらいいでしょうか?」と相談されたら「どうでもいいんじゃない?」と答える。
 世界観もとことんテキトーなので、ツッコむのもむなしいのだが、人魚の国に行くのに、海の中に入って、人魚のヒミツアイテムで呼吸が出来るようになりマシタ。そこでさらわれて、下が鮫の水槽になっている浮島みたいなところに軟禁されマシタ。て…って、だってここ海の中なんでしょ? しかもさっきはそこらへん漂っていたサメのしっぽにしばかれて、昏倒して攫われたんじゃなかった? あのサメとここのサメはなんか違うわけ? 何でここのサメは水槽に? そしてどうして海王のことは襲わず? 
 人魚の世界のことはさっぱりわかりませんよ。さすが異文化コミュニケーション。シャコ貝の話などはあんまりくだらなさすぎて気持ち良く笑ってしまった。癒されるなあ、果桃なばこ。続くんだって、コレ。もう存在そのものがヒーリングだな。

★☆


聞こえない声(京山あつき)/大洋図書・ミリオンコミックス


野球部の今井は、朴訥で生真面目な後輩の引田が気になって仕方がない。自分では「顔がコワイ」と気にして、ハンサムな今井を羨んでいる引田だが、今井から見れば引田が可愛くて仕方がないのだ。無心に慕ってくれる引田に、ふとイタズラ心を起こした今井は暗闇で…。(J)


じゃあな

 黒船来港レベルの衝撃を与えた受だった…。表紙を見た時、なぜか戦時中の話かと思った。もうすぐ赤紙が来るけど、その時まで野球がしたいんだ、的なストーリーを想像していた。それほどに引田の顔は、21世紀のレベルに達していなかった。
 物語が始まって、のっけから引田に「脱げよ」と妄想している今井のモノローグ。ん? 引田ってどの人かな? 部室の外にいるのかな? ん? えっ、…コレ?!
 読み進むと確かに引田は可愛いような気がする。現実ならちょっと顔が素朴でも、肌が綺麗だったり体つきが華奢ですんなりしていたらアリなのかも、と思う。しかしファーストインプレッションの衝撃からはなかなか抜けきれない。どうしても引田が受で、攻の(ハンサムな)今井がベタ惚れしているのが理解出来ない!
 「聞こえない声」というタイトルだが、いみじくも読者が、今井の「引田かわいい、引田だいすき」という声に、「 (∩゜д゜)アーアー、聞こえなーい」と言いたくなること必至の作品だった。
 蓼食う虫も好き好きというか…おかめはちもくと言うか…。フェティシズムって人それぞれなんだなあ、と、人間の愛と嗜好について考えさせられた一冊。今井さん、安心して。「お前はこんなに色っぽいのに気づいたのは俺だけ」って、多分生涯あなただけだから。

★★★


秘書と野獣(高橋ゆう)/芳文社・花音コミックス


傲慢で尊大、やり手の実業家京島社長は、男も女もおかまいなしで浮き名を流すので、秘書の戸川は苦労が絶えない。今度は後ろ盾をなくした美少年御曹司の後見人になると言い出して、ついに戸川は辞表を叩きつける。(J)


じゃあな

 話としてはまあよくあるボーイズラブの社長×秘書物なのだが、なんか好きだなーコレ。書店で友達に「なんかいいBLない?」と訊かれたとき、私と俺様二人で「これ!」と指さしてしまった(多重人格者の告白みたいな表現になってしまったが)。
 メガネ受の俺様の心も、社長攻好きの私の心も満たすスバラシイ物件である。いや、久々にいい社長だ。ガウンとブランデーがこんなに似合う社長はなかなかいない。なんで仕事でニューヨークに行くのにバイブ持参なんだろう。オモシロすぎですね社長。次巻はマイロと英喜なんだろうか。いえ私はずっと社長を見ていたいです。高橋ゆう、こんなにいいオヤジが描けるのに何で今まで学園物なんて描いてたんだ。

★★★☆


スーツを着た悪魔(高橋ゆう)/芳文社・花音コミックス


潔癖な秘書の戸川は、相変わらず傲慢な京島社長の誘惑に翻弄される毎日。いつも「仕事、仕事」とつれない秋彦の逃げ道を塞いでやろうと社長は社長室の増員をはかる。ハンサムで有能な新人の岡澤は、戸川に興味のある様子で…。(J)


じゃあな

 社長! お帰りなさい! マイロや英喜なんてどうでもいいんです。ひたすら続刊をお待ちしておりましたよ社長!! というわけで、あと一歩で少女漫画の枠を飛び越える苦み走りっぷりの京島社長が再び登場。相変わらず、どうやってここまで会社を大きくしたのかは誰にもわからないコドモっぷりで戸川君を追いかけ回します。
 新キャラ、岡澤…よりも、下マツゲがいいですね。相変わらずマイロも英喜もどうでもいいから、次巻は下マツゲの活躍にも期待します。しかし社長、なぜか英喜よりもマイロの方がよっぽどあなたの遺伝子を引き継いでいる様に見えるのですが(あの迷いのないぞっこんぶりが…)、何か間違いを犯しやしませんでしたか…?

★★★☆


地球の上に朝がくる(神楽坂はん子)/大洋図書・ミリオンコミックス


敏腕プロデューサーの日夏と、人気脚本家の帰山。かつては恋人同士だった二人だが、帰山の裏切りによって終わった関係だった。しかし仕事でまたタッグを組むことになってからと言うもの、ふとした拍子で昔の空気が蘇ってきて、焼けぼっくいに火が…?(J)


じゃあな

 神楽坂はん子はこの前から、私のハートにど真ん中ストライクを叩き込んでくる。こわい。この本、感想書こうと思って手に取る度に読み返してしまい、その度に時間が奪われていく…。
 シャレードのミシュランで「駅から5分」をおすすめした直後にこれを読んでしまい「しまったぁぁぁ! こっちも良かったァァァ!!」と頭を掻きむしった。毎号紹介してたら、それじゃ「隔月刊・今月のはん子さん」だ。
 キャラクターはみんな魅力的だし(と言ってもマリエちゃんやナナさんはお得意のキャラという感じだが)、俊哉と勢が微妙なバランスを保ちながら、グラッと落ちる瞬間がいいですね。
 カバー下まで面白い、完璧だ。オレンジィずっと元気でいてね。

★★★★☆


意気地なしの恋(直野儚羅)/竹書房・BAMBOO COMICS


苦学生の森は、空腹のあまり錯乱して米屋から米袋を盗み出しそうになる。彼の困窮きわまりない生活を哀れんで、米屋の若旦那・川田は森の面倒を見るように。小柄だが侠気溢れる川田が、森は可愛くてかっこよくて仕方ないのだが…。(J)


じゃあな

 レジェンドだぜこれは。全部私とカップリングが逆だったぜ。直野儚羅の場合、一冊に半分くらいは「ちっ、逆か!」があるが、一冊丸ごと、カスリもせずにやられたってのはこれが初めてだった。ああ、逆ならどれもタイプなのに…。
 鏡の向こうの世界に行けば、この本の受と攻、全部逆になるかしら…と、鏡にページを映してみても、特に体位が反対になった様にも見えないのだった。ああ…せめてオーナーとマネージャーだけでも下克上して欲しかった…。
 内容はどれもあってなきがごとし。「愛の復讐」のミクちゃんは、そんな男に愛されるくらいならお金だけ貰った方がぜったいに為になるよ。人生その方が豊かになるよ、と肩を叩いて励ましたくなった。そんなダメ男の愛なんて、貰ったら蛆がわく。

★★☆




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